OpenAIは2026年7月9日、ChatGPTの新しいAIエージェント「ChatGPT Work」を発表しました。アプリやファイルを横断して情報を集め、資料や表、スライドといった成果物を仕上げ、必要であれば数時間にわたって一つのプロジェクトに取り組み続けます[1]。同じ日には、これを支える最新の基盤モデル「GPT-5.6」の提供も始まりました[1][2]。ここでは発表内容を整理します。
目標を伝えると成果物まで仕上げるエージェント
ChatGPT Workは、質問に答えるだけだった従来のChatGPTから一歩進み、実際の作業を代わりに進めてくれるエージェント(自律的にタスクをこなす仕組み)です。複雑な作業を小さな手順に分解し、自分で順番に片付けていくため、シートやスライド、ドキュメント、簡単なWebアプリまで、完成した成果物として仕上げられるとしています[1]。
技術的な土台には、OpenAIのコーディング支援エージェント「Codex」が組み込まれています。Codexは毎週500万人以上が利用しており、もともとは開発者向けのツールでしたが、現在は100万人以上がソフトウエア開発以外の業務にも使っているとOpenAIは説明します[1]。ChatGPT Workを動かしているのは、同日に公開された最新の基盤モデルGPT-5.6です。GPT-5.6は複数の手順を要する作業の推論や、テンプレートや参照ファイルに沿った資料作成を得意とするとされています[1][2]。
使い方として、OpenAIは「自分がよく知っている作業を任せてみる」ことを勧めています。月末の予算差異の分析、手元の資料からマーケティングキャンペーンの企画書を作る、営業ミーティングの準備をする、といった具合です。作業の進み具合を確認したり、途中で質問に答えたり、方向性を変えたり、重要な操作を承認したりと、利用者が主導権を握りながら任せられる点が特徴です[1]。
デスクトップアプリを刷新、Codexアプリと統合
今回の発表に合わせて、ChatGPTのデスクトップアプリも刷新されました。デスクトップ版では、パソコン内のローカルファイルやアプリを使って作業を進められるほか、新たに内蔵ブラウザーが加わり、Webサイトやオンライン上のファイルを一つの画面で扱えるようになります[1]。
大きな変更点は、これまで別々だったコーディング用の「Codexアプリ」が、新しいChatGPTデスクトップアプリに統合されることです。Codex自体は開発者向けの強力なコーディングエージェントとして残り、差分表示のなかでその場で編集できる機能や、サイドパネルでのプルリクエスト(コード変更提案)のレビュー、GPT-5.6による高速なコンピューター操作、一つのプロジェクトで複数のリポジトリを扱う機能などが追加されました[1]。
新アプリでは、Chat・Work・Codexの3つの機能が無料プランを含むすべてのプランで利用でき、WindowsとMac向けに世界中で提供されます。すでにCodexアプリを使っている場合は、通常どおり更新すればそのまま新しいChatGPTデスクトップアプリになります。従来のChatGPTデスクトップアプリは「ChatGPT Classic」に名称が変わります[1]。
あわせて、Chromeの拡張機能も更新され、Chromeのサイドバーから直接ChatGPTを使えるようになります。これはOpenAIが手がけてきたブラウザー「Atlas」で得た知見を土台にしたもので、単体のAtlasブラウザーは今後段階的に終了し、ChatGPTへの移行方法が案内される予定です[1]。
Scheduled TasksとSitesで定型業務を自動化
ChatGPT Workは、利用者がパソコンやスマートフォンから離れているあいだも作業を進められます。その鍵となるのが「Scheduled Tasks(予約タスク)」で、一度きりの実行だけでなく、決まった時間や特定のできごとをきっかけにした繰り返し実行、変化の監視までを指示できます[1]。
具体例として、毎週Slackの新しい更新を確認して定例ミーティングの議題を更新する、毎朝Webサイトやダッシュボードを確認して変化点を要約しレポートを送る、新しい顧客フィードバックを監視して繰り返し出てくるテーマを製品の改善案にまとめる、といった使い方が挙げられています。Microsoft TeamsやSlackの新着メッセージを、更新済みのドキュメントやスライドに自動でまとめ直すこともできるとしています[1]。
新機能として、対話しながらWebサイトやWebアプリを作れる「Sites」も公開ベータとして登場します。ライブダッシュボードやプロジェクト管理表、製品発表のカレンダー、試作品、社内ポータル、対話型のレポートなどをChatGPT上で作り、URLでチームや一般に共有できます。もとになる情報が変われば、ChatGPTがサイトを更新することも可能です[1]。
これらを支えるのが「プラグイン」で、SlackやMicrosoft Teams、Google DriveやSharePoint、メール、カレンダー、CRM(顧客管理システム)、プロジェクト管理ツールなどとChatGPTをつなぎます。プロンプトに「@」に続けてアプリ名を入力すれば、特定のアプリから情報を引き出すよう指示できます[1]。
提供プランと企業向けの管理機能
ChatGPT Workは、まずWebとモバイルでPro・Enterprise・Eduの各プラン向けに提供が始まり、PlusとBusinessプランには数日以内に順次展開されます[1]。ただし、ChatGPT Workは通常のチャットよりも長く込み入った作業を想定しているため、利用の仕組みも異なります。作業量に応じて使用量が変わり、複雑なタスクほどプランに含まれる使用量を多く消費します。使用量の考え方はCodexと同じ仕組みに従うとされています[1]。
企業向けの管理機能も重視されています。ChatGPT WorkはChatGPT Enterpriseのセキュリティ・プライバシー・コンプライアンス・ワークスペース管理の基盤の上に作られており、EnterpriseやEduの管理者は、誰がアクセスできるか、どの社内情報を使えるか、どのツールに接続できるか、どんな操作を許可するかを一元的に管理できます[1]。
安全面の仕組みとして、接続したツールやAPIをまたぐ重要な操作を実行前に高度なモデルで点検する「自動レビュー」が加わりました。OpenAIによれば、敵対的なテスト(レッドチーム演習)において、この自動レビューは保護対象データを抜き取ろうとする試みを100パーセント阻止し、そのなかにはモデルが学習時に見たことのない攻撃も含まれていたとしています[1]。
まとめ
ChatGPT Workは、質問に答えるChatGPTから、実際に仕事を仕上げるエージェントへと役割を広げる発表です。Codexの技術とGPT-5.6を土台に、アプリやファイルを横断して数時間規模の作業を任せられ、デスクトップアプリの刷新やSites、Scheduled Tasks、企業向けの管理・安全機能まで一度に打ち出されました。利用者が主導権を保ちつつ、どこまで自動化を任せられるかは、実際の業務での使い勝手にかかっていると言えそうです。
出典:https://openai.com/index/chatgpt-for-your-most-ambitious-work
