OpenAIが半導体大手のBroadcomと共同で、自社初のAIチップ「Jalapeño」を発表しました[1]。ChatGPTのようなサービスで質問に答える「推論」の処理に特化した専用チップで、設計から製造までをわずか9か月で進めたとしています[1][2]。早期のテストでは、電力あたりの性能が現行の最先端を大きく上回る見込みだと説明しており、2026年末からデータセンターへの本格展開を始める計画です[1]。

「Jalapeño」とはどんなチップか

Jalapeñoは、OpenAIが「Intelligence Processor(知能処理プロセッサ)」と呼ぶ自社設計のAIアクセラレーター(AI計算を専門に高速化する半導体)です[1]。ここでいう推論とは、学習済みのAIモデルが利用者の問いに対して答えを組み立てる工程を指し、ChatGPTが文章を生成する場面がこれにあたります[3]。

特徴は、既存のGPUを転用したものではなく、大規模言語モデル(LLM)の推論のために白紙から設計された点です[1]。OpenAIはモデルやカーネル、配信システムの知見をもとにチップの構造を決め、データの移動を減らして演算・メモリ・ネットワークの資源の釣り合いを取ることで、理論上の最大性能に近い実効性能を狙ったとしています[1]。チップはOpenAIのSam Altman最高経営責任者(CEO)とGreg Brockman社長に、Broadcomのトップらが手渡す形でお披露目されました[1]。

9か月での開発と性能の見込み

開発では、設計の着手から製造のテープアウト(量産設計の確定)までを9か月で終えたとされ、OpenAIはこれを高性能半導体の分野で最速級のASIC(特定用途向け集積回路)開発サイクルだと位置づけています[1][2]。設計と最適化の一部にはOpenAI自身のAIモデルを活用したといい、AIがチップ設計を助けることで開発期間を縮められると説明します[1]。

性能面では、ラボに置かれたエンジニアリングサンプルが、本番を想定した周波数と電力で実際の機械学習の処理を動かしている段階です[1]。そこでは「GPT-5.3-Codex-Spark」を含むモデルが走っているとされます[1]。早期テストの結果として、電力あたりの性能(performance per watt)が現行の最先端を大幅に上回る見込みだと述べています[1]。ただし最終的な性能はまだ測定中で、詳細な技術レポートは数か月内に公開する予定としており、現時点の数値はあくまでOpenAI側の説明にとどまります[1]。

製造面ではBroadcomがシリコンの実装やネットワーク技術(Tomahawkと呼ばれる通信用半導体を含む)を担い、Celesticaが基板やラック、システム全体の組み上げを受け持ちます[1][2]。

ChatGPTを支える「フルスタック」戦略

OpenAIは今回のチップを、モデルや製品の下にあるインフラまで自社で設計する「フルスタック」戦略の一環だと説明しています[1]。チップの構造からカーネル、メモリ、ネットワーク、処理の割り当て、配備の仕組みまでを同じ目標のもとで最適化することで、自社モデルをより速く、より安く、より安定して動かす狙いです[1]。

推論はAIが利用者に届く接点であり、コストや速度、信頼性の改善は、ChatGPTの回答が速くなることや、APIを使う開発者の費用が下がることに直接つながると同社は位置づけています[1]。Jalapeñoは複数世代にわたる計算基盤の第一歩とされ、2026年末の初期展開を皮切りに、Microsoftをはじめとするデータセンターのパートナーとともにギガワット規模で順次広げていく計画です[1][2]。

NVIDIA一強の構図に一石

主要メディアは今回の発表を、AI半導体で圧倒的なシェアを持つNVIDIAへの依存を和らげる動きとして受け止めています[3]。GoogleやAmazonなど大手が独自チップの開発を進めるなか、OpenAIも自社専用の半導体を持つことで、計算資源の調達を多様化しコストを抑えようとする流れに加わった形です[3]。もっとも、Jalapeñoが量産されて実際の運用で力を示すのはこれからであり、公表された性能の優位がそのまま現場で再現されるかは、今後の検証を待つ必要があります[1][3]。

まとめ

OpenAIがBroadcomと発表した「Jalapeño」は、LLMの推論に特化した同社初の自社設計AIチップです。設計から製造までを9か月で進め、電力あたりの性能で現行最先端を上回る見込みだとしますが、最終性能は測定中で、詳細なレポートは数か月先になります。BroadcomとCelesticaが製造を支え、2026年末からMicrosoftなどとギガワット規模で展開する計画です。自社でインフラまで設計するフルスタック戦略の象徴であり、NVIDIA一強が続くAI半導体の構図にどこまで影響するかが今後の焦点です。

出典:https://openai.com/index/openai-broadcom-jalapeno-inference-chip

出典:https://investors.broadcom.com/news-releases/news-release-details/openai-and-broadcom-unveil-llm-optimized-intelligence-processor

出典:https://www.cnbc.com/2026/06/24/openai-and-broadcom-reveal-jalapeno-first-ai-chip-in-partnership.html