Googleは2026年6月8日(米国時間)、AIリサーチツール「NotebookLM」の大型アップデートを実施しました。集めた資料をもとに対話できる従来の使い方に加え、ExcelやPowerPointなど11種類の形式でそのまま成果物を書き出せるようになり、基盤モデルもGemini 3.5へ刷新されました。各ノートブックがコードを実行できるクラウド環境を持つようになった点も大きな変化です。

11種類の出力形式で成果物をそのまま書き出せる

今回のアップデートで最も実用的なのが、出力形式の大幅な拡充です。これまでのNotebookLMは要約やノート、音声解説といった形でアウトプットを返していましたが、今後は調べた内容を11種類の形式でダウンロードできるようになります。

対応するのは、グラフなどデータを可視化したpng/svg形式、PDFやWord(docx)・マークダウン・テキストといった文書形式、画像生成モデル「Nano Banana」で作成したpng/jpg/gifの画像、CSVやJSONといった構造化データ、そしてMicrosoftのExcel(xlsx)とPowerPoint(pptx)です。表計算とプレゼン資料という、ビジネスで使う機会の多い2形式に対応した意味は小さくありません。

しかも、ただ機械的に変換するわけではありません。出力時には細かな指示を添えられます。たとえば「この構成でレポートにまとめて」「この列を持つExcelシートにして」といった注文を出せるため、調べた内容を自分の使いたい形に近い状態で受け取れます。資料収集から最終成果物の作成までを、ツールを行き来せずに一本の流れでこなせるようになったかたちです。

Gemini 3.5搭載と「セキュアなクラウドコンピューター」

NotebookLM自体の頭脳も入れ替わりました。基盤モデルがGemini 3.5になり、Googleのエージェント向け基盤「Antigravity」上で動作します。これにより、回答の正確さや信頼性が増すとともに、どのような考えを経て結論に至ったのかという思考の過程をより明確にたどれるようになったとしています。

加えて、各ノートブックには専用のセキュアなクラウドコンピューターが割り当てられます。これはNotebookLMがコードを書いて実行できるクラウド上の作業環境で、100を超えるソフトウェアの機能を扱えるとされています。先ほどのExcelやグラフ、画像といった多彩な出力が成立しているのは、この実行環境が裏側でコードを動かして成果物を組み立てているためです。単に文章を返すだけのツールから、手を動かして成果物を仕上げる存在へと役割が広がったと言えるでしょう。

漠然とした疑問からでも調べ始められる

使い始めのハードルも下がりました。従来のNotebookLMは、ユーザー自身が資料をそろえ、調べたいテーマがはっきりしている場面で力を発揮するツールでした。今回からはチャットの会話のなかからウェブ上の情報源を見つけて集められるようになり、漠然としたアイデアや疑問の段階からでもリサーチを始められます。

「何を調べればよいかまだ整理できていない」という入り口の状態からツールに伴走してもらえるため、調査の最初のとっかかりをつかみやすくなります。資料がそろってからが本番だった従来の設計に比べ、活用できる場面はかなり広がりそうです。

なお、これら新機能はまず有料層から提供が始まります。対象はGoogle AI Ultraの契約者と、対象となるWorkspaceのビジネス顧客です。

まとめ

今回のNotebookLMのアップデートは、出力形式の拡充、Gemini 3.5への刷新、コードを実行できるクラウド環境の付与という3つの軸で構成されています。とりわけExcelやPowerPointへの書き出しと、注文を付けて成果物を整えられる点は、日々の調べ物や資料づくりに直結する実用的な進化です。提供はまず有料層からですが、AIリサーチツールが「調べる」だけでなく「形にする」段階まで担い始めた動きとして注目できます。