マウスコンピューターが、2026年後半に向けた事業方針と製品ロードマップを報道関係者向けに説明しました。目玉は、手元で大規模言語モデル(LLM)を動かすことを狙った「AIミニPC」です。クラウドに頼らず100Bパラメーター規模のモデルを扱える性能をうたい、コンパクトな筐体に最大128GBのメモリを積む高性能機を予定しています。あわせて、価格を抑えたミニPCや1kgを切る軽量ノートなど、独自色の強い製品を順次そろえる計画も示されました。
ローカルでLLMを動かす「AIミニPC」が軸に
今回のロードマップで最も力が入っていたのが、ローカルAIに振り切ったミニPCです。同社は、100Bパラメーター(パラメーターはモデルの規模を示す指標で、数値が大きいほど高度な処理が見込める)に達するようなLLMを手元で動かせる「AIミニPC」を、2026年後半の柱の1つに据えると説明しました。
具体的なモデルとしては、コンパクトな筐体に最大128GBのメモリを搭載するハイエンド機「DAIV CX」を8月に投入する予定です。LLMは扱えるモデルの大きさがメモリ容量に左右されるため、小型ながら大容量メモリを積む構成は、ローカルでAIを動かしたい層を強く意識したものといえます。
説明会には、NVIDIAの日本代表で米国本社の副社長も務める大崎真孝氏も登壇しました。同社社長との対談では、小型AI開発機「NVIDIA RTX Spark」やローカルAIがパソコンの使い方をどう変えるかが語られ、手元でAIを動かす流れがミニPCの新たな主戦場になりつつあることがうかがえました。
手頃なミニPCと軽量ノートで独自色
価格の高騰が続くパソコン市場に対して、マウスコンピューターは「買いやすさ」を打ち出します。NUCスタイルのミニPC「mouse CA」は、Ryzen 5 3501U/6600HやRyzen 7 H255などを選べる構成で、リビングにもなじむシンプルなデザインが特徴です。高性能を追うのではなく、購入しやすい価格帯の選択肢として位置づけています。
法人向けでは、既存の「Mouse Pro CR」に加え、これまでとは異なる新コンセプトのミニPCを10月に投入する計画です。モバイル分野では、12.1型で1kgを切るCopilot+ PC「mouse X2」を秋以降に展開予定で、12.2型でアンダー1kgという軽量モバイルノートも準備しているとしました。
ゲーミングとクリエイター向けも刷新
得意とするゲーミングPCでは、Ryzen 7 9800X3DとGeForce RTX 5080、32GBメモリ、2TB SSDを積んだ「G TUNE PG-A7G80」を披露しました。全国高校eスポーツ大会や第20回アジア競技大会に100セットを提供するモデルです。入門層には、15.6型の高リフレッシュ液晶とRTX 3050を組み合わせ、価格を抑えた「NEXTGEAR J5」を用意します。
クリエイター向けのDAIVシリーズも拡充します。Copilot+ PCに対応した「DAIV Z5」は、Core Ultra 7 356HとRTX 5070(8GB)を積みつつ、15.3型で厚さ15.9mm・1.54kgに収めた薄型軽量機です。ディスプレイでは、用途に応じて切り替えられるデュアルモード液晶や有機ELパネルに加え、色見本の基準を手掛けるPantoneの認証を受けたモデル、映画制作で標準のDCI-P3規格に対応したモデルなど、色再現にこだわった製品をそろえます。会場では、ゲーミングデスクトップの大型新製品も予告されました。
過去最高の業績と「ものづくり」回帰
こうした攻めの計画の背景には、好調な業績があります。2025年度の売上高は前期比112%の730億円と過去最高を記録し、出荷台数はPCで前年比108%、ディスプレイで104%に伸びました。個人向けパソコンは前年比113%、法人向けパソコンとiiyamaブランドのディスプレイは114%と、いずれも堅調でした。
一方で、4月に始まった2026年度は、部材の供給不足や価格の高騰、Windows 10のサポート終了後に予想される買い替え需要の落ち込みといった課題にも直面しています。軣秀樹社長は、価値を売上とシェアに変える、品質と納期を仕組みで担保するなど5つのテーマを掲げ、国内生産・国内サポートという日本メーカーとしての強みを軸に事業を固めていく方針を示しました。再生品を扱う3R推進部署を新設し、「マウス整備済パソコン」を通じて安価で安心して使える選択肢を広げる取り組みも進めています。
まとめ
マウスコンピューターの2026年後半は、100Bパラメーター級のローカルLLMを動かす「AIミニPC」や128GBメモリ搭載の「DAIV CX」を軸に、手頃なミニPC、軽量ノート、ゲーミング、クリエイター向けまで幅広く刷新する計画です。価格高騰が続く市場で、国内生産という強みと「買いやすさ」をどう両立させるかが、後半戦の見どころになりそうです。
