Klipschが、ホーン型スピーカーの新シリーズ「Reference Signature」を公開しました。同社が80年にわたって磨いてきたホーン構造を3ウェイ構成に改め、中音域を専用ドライバーに任せた6機種で構成されます。想定価格はペアで1,600ドルから3,000ドル、一部モデルが今冬に登場する予定です。公開は9月2日で、実機はCEDIA Expo 2026の招待制デモで先行して聴ける形になっています。

中音域を独立させた3ウェイへ

Reference Signatureで最初に押さえておきたいのは、フロア型とモニター型、センターの各モデルが高音・中音・低音をそれぞれ専用のドライバーに割り当てる3ウェイ構成になった点です。

2ウェイでは、ウーファーが中音域まで受け持つため、人の耳が最も敏感に反応する帯域にクロスオーバー(帯域の受け渡し点)が入りやすくなります。Reference Signatureはドライバーを1基増やすことで、この受け渡し点を敏感な帯域の外側へ追い出しました。声や楽器の音を、その帯域のために設計されたドライバーだけが鳴らす構成です。

創業者のPaul W. Klipschは中音域こそが再生の要だと語っていたことで知られており、今回の設計はその考え方をシリーズ全体に落とし込んだものと言えます。ホーンの中心にはチタン振動板のLTS(Linear Travel Suspension)ツイーターが据えられ、歪みを抑えた高域を担当します。

ツイーターホーンの中に中音域を収める

もう1つの柱が、位相を揃えた新しいホーン設計です。中音域用ドライバーをツイーターのホーンの内側に配置し、中音と高音が同じ音響中心から放射されるようにしています。

この配置の狙いは、クロスオーバー付近のつながりを整えることと、聴く位置が多少ずれても音色が変わりにくくすることの2点です。座って聴くか立って聴くかで印象が変わりにくい、という説明がされています。

ドライバーの口径は2系統に分かれます。8インチ系は8インチの低域ドライバーと6.5インチの中域ドライバー、6インチ系は6.5インチの低域ドライバーと5.25インチの中域ドライバーという組み合わせです。フロア型とセンターは低域ドライバーを2基、モニター型とサラウンド用は1基搭載します。低域ドライバーのコーンには、Klipschの外観上の目印になっている銅色のCerametallicが使われます。

センターとAtmos用は役割ごとに構造を変える

センターチャンネルのRS-6301Cは、ドライバーを縦方向に並べた配置を採用しました。中央にツイーターを置いて左右にウーファーを配する一般的なMTM配置では、横方向に音が偏ったり、特定の周波数が打ち消し合ったりする現象が起きます。縦配置はこれを避け、視聴位置が横にずれてもセリフの明瞭さと音色が保たれることを狙っています。

Dolby Atmos向けのRS-6101SAは2ウェイ構成で、置き方を3通りから選べます。フロア型やモニター型の天板に載せて天井に音を反射させるイネーブルドスピーカーとしての使い方、壁面に取り付けるハイトスピーカーとしての使い方、そしてリアサラウンドとしての使い方です。切り替えスイッチでAtmosモードとサラウンドモードのクロスオーバーを変更でき、用途に合わせて特性を調整できます。

木目とレザーで仕上げた新しい外観

外観もシリーズを通して刷新されました。フロントバッフルはBMC(バルク成形コンパウンド)の一体成型で、箱鳴りを抑える土台として機能します。キャビネットの角には丸みを持たせ、音の回折を減らして音場の広がりと軸外特性の改善を図っています。

仕上げはエボニーとウォールナットの2種類で、曲面に沿って水平方向の木目が途切れずに続くよう処理されています。天板には装飾用のレザーパネルが張られ、家具としての質感を意識した作りです。設置用には金属製のカーペットスパイクとゴム脚が付属します。

一部モデルの入力端子部には、ツイーターの出力をプラス1dB、0dB、マイナス1dBの3段階で調整できる機構が備わります。部屋の響きや好みに合わせて高域を微調整できるわけです。バイワイヤリングとバイアンプ接続に対応する2組のバインディングポストも用意されます。

価格はペア1,600ドルから、正式な仕様は発売時に

想定小売価格はペアで1,600ドルから3,000ドル(約25万円から約47万円)のレンジが示されています。一部のReference Signatureモデルが今冬に発売される予定で、最終的な価格と詳細な仕様は発売時に改めて案内されるとしています。

※1ドル156円換算(2026年9月7日時点)

このシリーズは、2026年のCES会場で開かれた創業80周年の企画で外観だけが先に披露されていました。今回のCEDIA Expo 2026では招待制のデモとして音が公開され、外観の反響が良かったので次は音を聴いてもらう段階だ、という趣旨のコメントが製品管理部門の担当者から出ています。日本での取り扱いについては、現時点で情報は出ていません。

まとめ

Reference Signatureは、Klipschのホーン型スピーカーを3ウェイ構成に組み替えた新シリーズです。中音域を専用ドライバーに独立させたうえで、そのドライバーをツイーターホーンの内側に置くことで、中高域を同じ音響中心から鳴らします。フロア型2機種、モニター型2機種、センター1機種、Atmos用1機種の計6機種で、想定価格はペア1,600ドルから3,000ドル。一体成型バッフルや曲面キャビネット、レザー天板といった外装面の刷新も含め、今冬の発売時に正式な価格と仕様が明らかになります。