イノモ日本株式会社が、AIスマートグラス「INMO GO3」を2026年7月30日に国内発売します。価格は99,800円(税込)。重さ約58gの眼鏡型ボディに両眼Micro-LEDディスプレイとカメラ、マイク4基を収め、98言語のリアルタイム翻訳やAIによる議事録作成を視界の中で完結させる製品です。予約受付は7月17日から始まっています。

展示会向けではなく日常向けという立ち位置

スマートグラスは長らく、体験イベントで驚かれても毎日は使われない製品でした。GO3はその評価をひっくり返すことを狙っています。同社代表取締役の野村洋平氏は発表会で、スマートグラスは毎日使える製品であるべきであり、展示会で驚きを生むだけの存在を超えるべきだと述べました。高頻度で発生する具体的なニーズに絞る、という設計思想です。

この考え方は機能の選び方にはっきり出ています。派手な空間コンピューティングではなく、翻訳、原稿の読み上げ支援、会議の記録、道案内といった、仕事や旅行で毎週のように発生する場面が並びます。同社は今回の製品をコンセプト製品ではなく実用品だと位置づけています。

INMOは2020年創業のAI・ARスマートグラス企業で、設計から製造、販売までを自社で一貫して手掛けています。日本法人のイノモ日本は、中国・四川省成都市に本社を置くSICHUAN YINGMU TECHNOLOGYの日本拠点にあたります。親会社はAR・AI・5G領域で175件以上の特許を保有し、累計出荷台数は10万台を超え、世界20カ国以上の実店舗で販売しています。GO3はGOシリーズの3世代目です。

98言語の翻訳を字幕として視界に出す

GO3の中心にあるのは翻訳機能です。独自開発の翻訳モデルにより98言語へ対応し、会話や講演の内容をその場で翻訳してグラス上に字幕表示します。ネットワークがつながらない環境でも9言語はオフラインで動きます。

集音の仕方は場面に応じて切り替えられます。90度の指向性集音を選べば目の前の相手との1対1の会話に集中でき、360度の全方向集音にすれば複数人が話す会議やグループでのやり取りを拾えます。別売のスピーカーアクセサリー「INMO Speaker」を組み合わせると、AIが音声を再現して双方向の会話翻訳もできるようになります。

内蔵カメラを使った写真翻訳にも対応しました。海外の看板やレストランのメニュー、商品ラベルを撮影すればそのまま訳せるため、スマートフォンを取り出してカメラを構える一連の動作が不要になります。

テレプロンプターと議事録という実務寄りの機能

ビジネス向けの機能としては、AIテレプロンプターが目を引きます。原稿を視界に表示し、話す速度に合わせて自動でスクロールする仕組みで、手動のページ送りも選べます。原稿はtxt、Word、PDFなどの形式からワンタップで取り込めます。プレゼンや動画収録で、手元の紙や別画面に視線を落とさずに済むのが利点です。

会議アシスタントは、会議の内容を自動で文字起こしし、要約して議事録にまとめます。このほか複数の大規模言語モデルと対話できるAI Q&A、音声でアイデアを残せるAIメモ、スマートフォンの通知をテキスト表示と音声読み上げで知らせる通知リマインダーを備えます。マップナビゲーションでは進行方向、残り時間、到着予定時刻を視界に出し、音声でも案内します。

操作系は電源ボタンとGOボタンの2つに、テンプル部分のスライド操作を組み合わせる方式です。音声操作にも対応し、リング型アクセサリー「INMO Ring4」を使えば指先だけで操作できます。

眼鏡に見せるための光学系と装着設計

外観は普通の眼鏡に近づけることを優先しています。テンプル幅は8mmに抑えられ、フレームはアルミニウム合金とPA(ポリアミド)素材を5軸CNC加工でマットに仕上げました。前方への張り出しを抑えているため、横から見てもガジェット然としないと説明されています。鼻パッドにはエアクッションを採用し、前後の重量バランスも調整済み。テンプルは左右最大15度まで開き具合を変えられます。

表示部は両眼グリーンMicro-LEDスクリーンと回折光学導波路の組み合わせで、表示解像度は640×480、視野角は30度、最大輝度は1,500ニトです。新採用の「IMAR Pureクリア光学システム」では導波路の透過率97パーセントを実現し、耐衝撃性能を53パーセント引き上げました。反射を抑えるARコーティングと、指紋や汚れを防ぐAFコーティングも施しています。回折格子の面積を22パーセント削減して光学構造を小型化しつつ、独自の格子構造で導波路特有の虹模様を50パーセント低減したとしています。

視力補正が必要な人向けの度付きレンズは、JUN GINZAと共同開発しました。薄くフラットな形状でARグラスのレンズに密着させる設計で、2層レンズ構造より視界がクリアになるとしています。購入時にデータを入力してINMO提携の眼鏡店で作るか、付属フレームを提携店に持ち込んで作成します。

交換式バッテリーとプライバシーカバー

バッテリー容量は270mAhで、使用時間は通常利用で最大8時間、テレプロンプターで3.3時間、対話翻訳で3時間です。数字だけ見ると短めですが、GO3はバッテリーを交換できる設計を採り、本体にはバッテリーが2個付属します。取り外したバッテリーは付属の充電ケースに入れておけば自動的に充電されるため、外出先でも継ぎ足しながら使えます。

カメラを物理的に遮蔽できるプライバシーカバーも備えました。カメラ付きのウェアラブル端末は公共の場で周囲に警戒されがちですが、レンズが塞がれていることを見せられれば説明の手間が減ります。

そのほかの仕様は、プロセッサーがデュアルコアCPU、OSがRTOS、メモリ256MBとストレージ64GB、通信はWi-Fi 2.4GHzとBluetooth 5.4、オーディオはマイク4基とスピーカー2基です。型番はIMG301となります。

発売日と買える場所

正式発売は2026年7月30日で、予約販売期間は7月17日から7月29日までです。カラーはBlack RedとBlack Silverの2色で、日本が先行発売となります。販路は色ごとに分かれており、Black Redはオンラインのアマゾン、Black Silverはヨドバシカメラ、ビックカメラ、エディオン、ヤマダデンキ、ジョーシン、ケーズデンキの一部店舗で取り扱われます。

購入前に試したい人向けに、2026年7月16日から8月16日まで二子玉川 蔦屋家電で体験の場が設けられています。装着感や字幕の見え方は写真では判断しにくい部分なので、翻訳目的で検討している人は実機を確認しておく価値があります。

なお同社によると、INMOはFrost & Sullivanの調査でオールインワン型AI+ARスマートグラスの2021年から2025年の累計販売台数において世界1位と認定されています。

まとめ

INMO GO3は、約58gの軽量ボディに両眼Micro-LEDディスプレイを載せ、98言語のリアルタイム翻訳、AIテレプロンプター、会議の文字起こしと要約、マップナビゲーションを日常的に使えることを狙ったAIスマートグラスです。透過率97パーセントの新光学系や交換式バッテリー、カメラプライバシーカバーなど、毎日かけて持ち歩く前提の作り込みが目立ちます。価格は99,800円(税込)で、2026年7月30日に日本先行で発売されます。