プライバシー重視のAndroid系OSとして知られるGrapheneOSが、Motorolaの折りたたみスマートフォンにも対応する計画を明らかにしました。対象になるのは横開きのRazr Foldと、縦折りのRazr Ultraの将来モデルです。縦折り形状への対応はGrapheneOSにとって初めてで、あわせてPixel 11シリーズへの対応も予定されています。
Pixel専用という前提が崩れる
GrapheneOSは、Androidのソースコードをもとに追跡機能やGoogleサービスへの依存を削ぎ落とし、権限管理やメモリ保護を強化した独立系のOSです。ただし動作条件が厳しく、長らくGoogleのPixelシリーズでしか動かせない状態が続いていました。ハードウェア側にセキュリティ機能と長期のアップデート保証を要求するため、条件を満たす端末がPixel以外に存在しなかったためです。
その前提を変えたのが、2026年のMWCで発表されたMotorolaとの長期提携でした。GrapheneOSをプリインストールした端末を出すという内容で、Pixel専用という状態に区切りを付けるものです。最初の対応端末は2027年に登場する見込みで、価格帯はPixelより上に置かれると見られています。今回明かされたのは、その提携が単発の1機種で終わらないという続報にあたります。
縦折りは初、横開きはPixelで実績あり
GrapheneOSの説明によれば、当初の中心はあくまで折りたたまない通常形状の端末です。そのうえで、Razr FoldとRazr Ultraの将来モデルにも対応を広げる計画があるとしています。
横開きの折りたたみについては、すでにPixel Fold(Pixel 7世代)、Pixel 9 Pro Fold、Pixel 10 Pro Foldで実績があります。開くとタブレットに近い画面になるこの形状は、ウェブ閲覧や読書、地図の表示と相性が良いというのがGrapheneOS側の見方です。
一方、Razr Ultraのような縦折りは同OSにとって未経験の形状になります。閉じた状態で片手に収まる小ささが主な利点で、横開きとは使われ方そのものが異なります。加えて、Pixel 11世代への対応も継続して計画されており、そこにはPixel 11 Pro Foldも含まれます。
2026年モデルが対象から外れる理由
気になるのは、すでに市場にあるRazr FoldやRazr Ultraの2026年モデルが対象にならない点です。GrapheneOSはこれらについて、要件に「近い」ところまで来ているとしながらも、いくつかの機能が足りていないと説明しています。
具体的に挙げられているのが、メモリタギング(MTE)とセキュアエレメントの統合です。MTEはメモリ領域にタグを付けて不正な読み書きを検知する仕組みで、バッファオーバーフローのような古典的な脆弱性をハードウェア側で捕まえられます。セキュアエレメントは鍵や生体情報を隔離して保管する専用チップで、どちらもPixelでは実装済みの要素です。
Motorolaはこの2点を2027年モデルに組み込む方向で作業を進めており、次世代のQualcomm製Snapdragonでも、MTEのサポートが従来より充実するとされています。現行機に後からアップデートで足せる類の話ではなく、シリコン側の世代交代を待つ必要があるということになります。
7年間のOS更新と、Motorola側が担う作業量
もう1つの条件が更新期間です。GrapheneOS対応のMotorola端末には7年間のOSアップデートが約束されるとしています。セキュリティパッチだけを7年配り続けるのではなく、OSそのものを最新の状態に保てることが求められている点が重要です。独立系OSにとって、土台となるAndroidのバージョンが止まってしまえば移植作業そのものが行き詰まるためです。
そしてGrapheneOSは、対応作業の「大部分」をMotorola自身が直接担うとも述べています。少人数のプロジェクトが端末メーカーの協力なしにハードウェアの深い部分まで面倒を見るのは現実的ではありませんから、この分担はプロジェクトの持続性という観点でも大きな意味を持ちます。Motorolaにとっても、プライバシーを求める層に向けた明確な差別化材料になります。
まとめ
GrapheneOSは、Motorolaとの提携を通常形状の1機種で終わらせず、Razr FoldとRazr Ultraの将来モデルにも広げる計画を示しました。縦折り対応は同OSにとって初の試みで、Pixel 11 Pro Foldを含むPixel 11シリーズへの対応も並行して進みます。2026年モデルが対象外なのはMTEとセキュアエレメントが未搭載のためで、条件を満たすのは2027年のハードウェアからです。7年間のOS更新と、Motorola自身が作業の大部分を引き受ける体制が、この計画を支える前提になっています。
