Googleは年次開発者イベント Google I/O 2026 で、新しいAIモデルから検索の刷新、開発基盤の強化まで幅広い発表を行いました[1]。同社は恒例の「100のハイライト」として要点を公開しており、その中から主要なトピックを整理します[1]。AIをツールから「自ら動くエージェント」へ広げる姿勢が、今年のI/Oを貫くテーマになっています。

新モデル「Gemini 3.5」と動画生成の「Gemini Omni」

今回の中心は2つの新モデルです。1つは「フロンティアの知性と実行力を組み合わせた」と位置づける最新モデル群Gemini 3.5で、第1弾として軽量・高速路線の「3.5 Flash」が同日から提供開始されました[1]。Googleの公表値では、3.5 Flashはコーディングやエージェント性能の指標で上位のGemini 3.1 Proを上回り、Terminal-Bench 2.1で76.2パーセント、MCP Atlasで83.6パーセントを記録、エージェント能力を測るGDPval-AAでは1656 Eloに達したとしています[1]。上位版の「3.5 Pro」も社内利用が始まっており、翌月の提供を予定すると説明されています[1]。これらの数値はいずれもGoogle自身が公表したものである点は、念のため押さえておきたいところです。

もう1つが、あらゆる入力から成果物を生み出す新モデルGemini Omniです[1]。まず動画出力から対応し、画像・音声・動画・テキストを組み合わせて、Geminiの知識に基づく動画を生成できるとしています[2]。会話形式での動画編集にも対応し、第1弾の「Gemini Omni Flash」はGeminiアプリやGoogle Flowを通じて有料プラン契約者に提供されるほか、YouTube ShortsのRemix機能でも無料で試せるとのことです[1]。生成された動画にはAI生成を示す電子透かし「SynthID」が埋め込まれます[1]。

検索の刷新と新しい「情報エージェント」

検索まわりでは、25年以上で最大という検索ボックスの刷新が発表されました[1]。テキストに加えて画像・ファイル・動画・Chromeのタブを入力として扱い、それらを横断して推論できる新しい検索ボックスが世界中で提供されます[2]。最も高機能とされるAIモードは月間10億人超の利用に達し、既定モデルがGemini 3.5 Flashへ更新されました[1]。

さらに、検索の中で複数のAIエージェントを作って管理できる「情報エージェント」も登場します[1]。ブログやニュース、金融・買い物・スポーツのリアルタイム情報まで横断して監視し、関心のあるテーマの変化を要約して知らせる仕組みで、今夏にまず有料プラン向けに提供される予定です[1]。買い物では、検索やGemini、YouTube、Gmailのどこからでも商品を追加できる「Universal Cart(ユニバーサルカート)」も用意され、価格の追跡や在庫の通知を自動で行うとしています[1]。

Geminiアプリの刷新と仕事・創作の支援

Geminiアプリは「Neural Expressive」と名付けた新しいデザインに刷新され、回答を一度に表示するのではなく、対話的な画像やタイムラインを交えて段階的に見せる形へ変わりました[1]。24時間動く個人向けエージェント「Gemini Spark」や、受信トレイや予定を分析して1日の要点をまとめる「Daily Brief」も投入されます[1]。

仕事や創作の支援も拡充されました。Gmailでは重要な内容を抽出する「AI Inbox」が対象プランを広げ、画像生成・編集ツール「Google Pics」、声で文書を作る「Docs Live」などが順次提供されます[1]。動画制作ツールのGoogle Flowにも、複数の手順をこなす「Flow Agent」が加わりました[1]。

開発者向け基盤「Google Antigravity」の拡張

開発者向けには、エージェント中心の開発基盤Google Antigravityが大きく拡張されました[1]。独立したデスクトップアプリ「Antigravity 2.0」では、複数のエージェントを並行して動かし、片方がコードを書く間にもう片方がブランド素材を作る、といった分担が可能になります[1]。ターミナル向けの「Antigravity CLI」や、自前のインフラ上でエージェントを動かせる「Antigravity SDK」も登場し、GoogleはGemini CLIからAntigravity CLIへの移行を推奨しています[1]。

開発者・上級者向けには、月額100ドル(約1万6,000円)の新しいAI Ultraプランも発表されました[1]。AI Proプランの5倍の利用枠と20TBのクラウドストレージが含まれます[1]。賞金総額200万ドル(約3億2,000万円)というハッカソンも告知され、ハッカソンとしては過去最大規模だとしています[1]。※1ドル159円換算(2026年5月31日時点)

科学・学習・Android XR、来歴確認まで

研究分野では、論文の把握から仮説生成までを支援する「Gemini for Science」が発表され、30を超える生命科学のデータベースやツールと連携する「Science Skills」も公開されました[1]。学習面では、YouTubeに会話型の検索体験「Ask YouTube」が試験導入されます[1]。

ウェアラブルでは、Android XRの次の節目として「インテリジェント アイウェア」が示されました[1]。音声で支援する眼鏡が今秋に登場予定で、Gentle Monster、Warby Parker、SAMSUNGとの協業により、AndroidとiOSの双方に対応するとしています[1]。

AI生成物の来歴を確かめる電子透かし「SynthID」も強化され、すでに世界で5,000万回利用されたとされます[1]。検索やChromeでも「これはAIで作られたものですか」と尋ねて確認できるよう順次対応し、OpenAIやElevenLabsなど他社もSynthID技術の採用を進めると説明されています[1]。

まとめ

Google I/O 2026は、Gemini 3.5とGemini Omniという2つの新モデルを軸に、検索・買い物・仕事・開発・科学までAIを「自ら動くエージェント」として広げる発表が並びました[1]。多くの機能はまだ提供開始直後か今夏以降の予定で、実際の使い勝手はこれから問われます。発表された性能値の多くがGoogle自身の公表である点も踏まえ、今後の検証を待ちたいところです。

出典:https://blog.google/innovation-and-ai/technology/ai/google-io-2026-all-our-announcements/

出典:https://blog.google/innovation-and-ai/technology/ai/io-2026-keynote-moment-videos/