GMKtecが、AIワークステーションをうたう小型デスクトップPC「EVO-X3」を7月6日にグローバル発売します。AMDの最上位モバイル向けプロセッサー「Ryzen AI Max+ 395」と128GBの大容量メモリを組み合わせ、クラウドに頼らず手元で大規模言語モデル(LLM)を動かすことを主眼に据えた1台です。基本構成の価格は3,600ドル(約58万円)で、すでに中国で先行発売されていた製品が世界市場へ広がる形になります。
Ryzen AI Max+ 395を核にしたAIミニPC
EVO-X3の中核となるのは、AMDのRyzen AI Max+ 395です。16コア32スレッド構成で、製造プロセスは4nm、最大クロックは5.1GHzに達します。グラフィックスには40基の演算ユニットを持つ内蔵GPU「Radeon 8060S」を統合し、アーキテクチャーには最新のRDNA 3.5を採用します。
加えて、AI処理に特化した「XDNA 2」NPU(ニューラル処理ユニット。AI演算を効率よくこなす専用回路)を搭載します。このNPU単体で50 TOPSの性能を持ち、CPUとGPUを合わせたシステム全体では126 TOPSのAI性能になるとしています。TOPSは1秒あたりの演算回数を示す指標で、数値が大きいほど画像認識や生成AIといった処理を高速にこなせます。
128GBの大容量メモリでローカルLLMに対応
EVO-X3が「AIワークステーション」を名乗る最大の理由が、メモリ構成です。標準で128GBのLPDDR5Xメモリを搭載し、動作速度は8000 MT/sに達します。CPUとGPUがメモリを共有するユニファイドメモリ方式を採るため、そのうち最大96GBをGPU側に割り当てられます。
通常、大きなAIモデルを動かすには大容量のVRAMを備えたグラフィックスカードが必要になりますが、EVO-X3はこの共有メモリを生かすことで、外付けの高価なGPUなしでも大規模なモデルを本体だけで読み込めます。GMKtecは、最大235Bパラメーター級のローカルAIモデルまで扱えるとしています。ソフト面では独自ツール「GMKtec Claw」をあらかじめ導入し、ワンクリックでのAI環境構築に対応するほか、完全オフラインでの動作にも対応するとしています。手元で処理が完結するため、データを外部に出さずに使える点を打ち出しています。
ストレージ・冷却・端子構成
ストレージはPCIe 4.0接続のNVMe SSDで、購入時に2TBまたは4TBを選べます。本体にはM.2 2280スロットを2基備えており、後から増設して最大16TBまで拡張できます。
小型筐体で高い負荷を続けるため、電力管理は3段階のモードを用意します。静音重視の54Wモード、バランス重視の85Wモード、性能重視の120Wモードから選べ、ピーク時の消費電力は140Wに達します。冷却は2基のファンと3本のヒートパイプを組み合わせたデュアルファン方式で、GMKtecは薄さ41mmのブレード状デザインに収めたとしています。
端子構成もワークステーション向けに充実しています。背面にはUSB4ポート(100Wの給電入力と4K映像出力に対応)、HDMI 2.1、2.5ギガビット対応の有線LAN、USB-A 3.2 Gen 2を配置します。外付けGPU(eGPU)をつなぐためのOCuLinkポートも備えますが、こちらはホットプラグ(電源を入れたままの抜き差し)には対応しません。GMKtecによると、OCuLink経由ではGeForce RTX 40/50シリーズのデスクトップ向けGPUを利用できます。無線はWi-Fi 7とBluetooth 5.4に対応します。
価格と発売日
EVO-X3は、7月6日から世界市場で販売が始まります。基本構成となる128GBメモリ+2TB SSDモデルが3,600ドル(約58万円)、4TB SSDモデルが3,849ドル(約62万円)です。いずれもWindows 11 Proを搭載して出荷されます。
※1米ドル=161円換算(2026年7月3日時点)
まとめ
GMKtecのEVO-X3は、Ryzen AI Max+ 395と128GBのユニファイドメモリを軸に、外付けGPUに頼らず手元で大規模言語モデルを動かすことを狙ったAIミニPCです。最大16TBまで広げられるストレージや3段階の電力モード、OCuLinkによるeGPU拡張など、小型ながら作業機としての実用性も確保しています。価格は3,600ドルからと決して安くはありませんが、データを外に出さずにローカルでAIを扱いたい開発者や専門ユーザーにとって、有力な選択肢になりそうです。
