Samsungが、完全ワイヤレスイヤホン「Galaxy Buds4 Pro」の通話品質を支える技術を公式サイトで詳しく公開しました。鍵になるのは、複数のセンサーをまとめて声だけを抜き出す「Sensor Fusion(センサーフュージョン)」という仕組みです。3つのマイクと骨伝導センサー、そしてイヤホン本体で動くAIを組み合わせ、騒がしい場所でも相手に声を届けやすくしたといいます。ここでは公開された主な内容を整理します。

イヤホンでの通話はなぜ聞き取りにくいのか

ワイヤレスイヤホンを日常的に使う人にとって、電話の相手に声が届きにくいのはよくある悩みです。原因は単純で、イヤホンのマイクは口から遠く、スマートフォンを口元に近づけて話すときよりも声が拾いにくいからです。マイクが1つだけの一般的なイヤホンでは、周囲の音が自分の声より大きくなると通話品質が落ちてしまいます。

Galaxy Buds4 Proがこの課題に対して採ったのが、周囲の環境を読み取って適応するSensor Fusionです。1種類の入力だけに頼るのではなく、複数のセンサーの情報を組み合わせて、いまどんな環境にいるのかを認識し、そのうえで声を取り出します。

3つのマイクと骨伝導VPUで声を捉える

Galaxy Buds4 Proには、3つのマイクが搭載されています。外向きの2つのマイクが使う人の声を直接拾い、内側の1つのマイクが体内を伝わってくる声をとらえます。さらに、骨伝導を使ったVPU(Voice Pickup Unit、声を拾う専用センサー)が、話すときに頭に生じる物理的な振動を検知します。

これらのマイクとセンサーが連携することで、周囲の騒音の中から自分の声だけを正確に切り出し、組み立て直せるようになります。声そのものだけでなく、声が生む振動という別の手がかりも併せて使う点が、従来の単一マイク方式との違いです。

AIのノイズ除去をイヤホンの中で動かす

ノイズ除去の中心を担うのは、人間の脳の構造をゆるやかに模したAI「DNN(ディープニューラルネットワーク)」です。本来この種のソフトウェアは大きな計算能力を必要とし、小さなイヤホンに収めるのは簡単ではありません。Samsungはアルゴリズムをイヤホン内部での処理向けに最適化し、計算負荷を元の10パーセント程度まで、モデルの大きさを30パーセントまで圧縮したとしています。これにより、本体だけで動くAIによる音声処理を実現しました。

雑音を抑えるだけでは、自然な通話にはなりません。Galaxy Buds4 Proは過去・現在・予測の音データを分析して、めまぐるしく変わる環境にその場で合わせます。声の細部をとらえる精度も従来モデルの16倍に引き上げ、高い音から子音、語尾の小さな音まで崩れにくくしたといいます。

装着ズレの補正と実環境での作り込み

イヤホンは体の動きで少しずつズレ、すき間から雑音が入り込む「フィットの漏れ」が起きます。Galaxy Buds4 Proは内側と外側のマイクの信号を常に分析してこの漏れをリアルタイムで推定し、音を動的に調整して通話を保ちます。加えて、Galaxyスマートフォンと組み合わせると最大16kHzのSuper Wideband(広帯域)接続が使え、より豊かで自然な声になるとしています。

開発にあたっては、大型の送風シミュレーターで実際の場所の音を再現する室内試験に加え、にぎやかなカフェや大型店、反響する駅などでの実地テストを重ねたとのことです。夜間の屋外を歩きながら、あるいは窓を開けた車内でも試すなど、現実に近い場面での検証を徹底したと説明しています。

価格と位置づけ

Galaxy Buds4シリーズは、2026年2月のGalaxy Unpackedで初めて披露されたモデルです。上位の「Pro」は、海外での価格が249ドル(約4万円)で、前世代のBuds3 Proと同じ水準に据え置かれました。今回公開された通話技術は、このフラッグシップ機の中身を改めて解説する内容といえます。

※1ドル=約162円換算(2026年6月25日時点)

音まわりでは、振動板に新しい広口径のウーファーを採用し、有効なスピーカー面積を前世代より約20パーセント広げたとされています。バッテリーはイヤホン単体で最大約7時間、充電ケース併用で最大約30時間とされ、日常使いに必要な持ち時間は確保しています。なお、日本国内での価格や販売形態は地域ごとに異なるため、購入を検討する際は最新の情報を確認すると安心です。

まとめ

Galaxy Buds4 Proの通話品質は、3つのマイクと骨伝導VPUを組み合わせるSensor Fusionと、イヤホン内部で動くよう絞り込んだAIのノイズ除去によって支えられています。小さな本体の物理的な制約を、センサーの多重化とアルゴリズムの最適化、そして実環境での作り込みで乗り越えようとした点が今回の見どころです。騒がしい場所での通話に悩んできた人にとって、選択肢として気になる一台になりそうです。