OpenAIは、法人向けの「ChatGPT Enterprise」に、クレジット利用状況の分析機能と新しい支出管理(スペンドコントロール)を追加したと発表しました[1]。誰が・どの製品やモデルで・どれだけAIを使っているのかを管理者が一元的に把握し、組織全体のコストを能動的に管理できるようにする更新です。新機能は本日から利用でき、管理者は導入の手応えを数字で確認しながら展開を進められるようになります。
利用状況を1か所に集約する分析機能
今回の中心となるのが、管理コンソール「Global Admin Console」に加わったクレジット利用分析です。ChatGPTとコーディング支援の「Codex」のクレジット消費を1つの画面にまとめ、利用者・製品・モデルといった切り口で消費の内訳を細かく確認できます[1]。
具体的には、時系列でのクレジット消費の推移を追う、利用量の多い上位ユーザーや新しく出てきた利用傾向を見つける、ワークスペース全体の消費をユーザー別・製品別・モデル別に分解する、といった分析が可能です[1]。これにより、価値ある業務によって増えている利用と、内容を確認した方がよい利用とを切り分けやすくなります。AIを「重要な事業投資」として、ほかの投資と同じ厳密さで管理したいという企業のニーズに応える狙いです。
働き方に合わせて上限を設定できる支出管理
支出管理の面では、利用上限の設定がより柔軟になりました。OpenAIは今年に入って、ChatGPT Enterprise内のカスタムロール向けに細かなクレジット利用上限を導入していましたが[1]、今回はワークスペース全体に既定の上限を設けたうえで、特定のグループごとに上限を構成し、より多くの容量を必要とする個人には個別の上書き設定を割り当てられるようになっています。
利用する従業員の側も、自分の使えるクレジットの予算と、それに対する現在の消費状況を確認できます。容量が足りなくなった場合は追加のクレジットを申請でき、その際にどんな作業に使っているのかという背景を添えられるため、管理者は状況をふまえて判断を下せます[1]。一部の利用量が多いユーザーのために全体の上限を引き上げる必要がなくなり、そうしたユーザーも作業を中断せずに済む構成です。
自社システムで分析できる「Cost API」
分析データは画面で見るだけにとどまりません。管理者は、統合された「Cost API」を通じて、同じクレジット利用データを自社のシステムに取り込み、より踏み込んだ分析に活用できます[1]。社内の経費管理やBIツールと組み合わせれば、AI関連の支出をほかのコスト指標と並べて評価することも可能になります。
第三者の報道でも、今回の更新はAIの利用状況をチームをまたいで監視し、予算を設定できるようにするものだと位置づけられています[2]。AIが日常業務に組み込まれるほど、利用の透明性とコストの統制が現場の課題になってきたことの表れといえます。
提供状況と、何が変わるのか
新しい分析機能と更新された支出管理は、ChatGPT Enterpriseの管理者が本日から利用を開始できます。これらのワークスペースに属する利用者も、ワークスペースの設定画面から自分のクレジット利用状況を確認できます[1]。
これまで法人のAI導入では、利用が広がっている実感はあっても、その内訳やコストを数字で押さえる手立てが乏しいという課題がありました。今回の更新は、その「見えにくさ」を可視化と制御の両面から埋めるものです。導入を拡大するほど支出の管理が重要になる局面で、管理者が安心して規模を広げられる土台になりそうです。
まとめ
ChatGPT Enterprise向けの新しいクレジット利用分析と支出管理は、AIの使われ方を管理者が把握し、コストを能動的に制御するための機能です。Global Admin ConsoleでChatGPTとCodexの消費をユーザー別・製品別・モデル別に確認でき、ワークスペース全体やグループ、個人単位で上限を設定できます。データはCost APIを通じて自社システムにも取り込めます。AIを事業投資として厳密に管理したい企業にとって、導入の規模を広げるうえで現実的な手綱になる更新といえそうです。
出典:https://openai.com/index/chatgpt-enterprise-spend-controls
