OpenAIが8月25日、デスクトップ版ChatGPTアプリの内蔵ブラウザーをWebMCPに対応させました。WebMCPは、ウェブサイト側が「席を予約する」「商品を買う」といった機能をAIエージェント向けに明示する仕組みです。画面を推測しながら操作する従来のやり方から、サイトが用意した窓口を直接呼び出す方式へと、エージェントの動き方が変わります。

画面を読ませるのではなく、サイト側が使い方を宣言する

これまでブラウザーを操作するAIは、表示されている画面を読み取り、どのボタンがどの役割なのかを推測しながら手順を組み立てていました。人間の目と手を模倣する方式なので、レイアウトが変わったり要素の名前が紛らわしかったりすると、そのまま失敗につながります。

WebMCPはこの前提をひっくり返します。サイトの制作者があらかじめ「このサイトではこういう操作ができる」という一覧を構造化された形で用意し、エージェントはその一覧を見て必要なものを呼び出します。OpenAIはWebMCPを実験的なオープン標準と位置づけており、仕様の開発はGitHub上で公開された状態で進められています。推測の余地が減るぶん、処理は速く、結果も安定しやすくなるという理屈です。

デスクトップ版ChatGPTの内蔵ブラウザーは、この規格に標準で対応しました。対応サイトを開けば、ChatGPTやCodexが必要に応じてサイト側の機能を使い、依頼された作業を進めます。手元で試す場合はアプリを最新版へ更新する必要があります。Google Chromeでも、実験用フラグまたはオリジントライアル経由でWebMCPを有効にすれば動作を確認できます。

対応サイトを作る側もChatGPTから

同時に、ChatGPT上でウェブサイトを構築できるChatGPT Sitesも、WebMCP対応サイトの生成に対応しました。実装の詳細を追わなくても、必要な機能を言葉で伝えれば対応サイトを作って公開できます。

OpenAIは自社チームが作った実例も公開しています。エージェントと会話しながら3Dモデルを組み上げていくもの、共有ドキュメント上でエージェントが自分の名義でコメントを残せる共同執筆ツール、旅行メモから旅程を組み立てるプランナー、DuckDB-Wasmを使ってブラウザー内でデータを集計・可視化するものなどが並びます。いずれも、人とエージェントが同じ画面を同時に触ることを前提にした作りになっている点が共通しています。

賞金3,000ドルのコンテストは9月4日締め切り

OpenAIはWebMCP対応アプリを募るコンテスト、WebMCP Challengeも開始しました。応募受付は米太平洋時間8月25日正午に始まり、締め切りは同9月3日午後1時、日本時間では9月4日午前5時にあたります。受賞者の発表は9月23日を予定していますが、応募数によっては前後する可能性があるとしています。

上位10件には、OpenAIから3,000ドル(約48万円)の賞金に加え、ChatGPT Proの1年分の利用権、Codex Microキーボード1台、OpenAIのオリジナルグッズが贈られます。さらにShopify、Google Chrome、Netlify、Cloudflare、Vercel、Renderからも副賞が用意されています。

※1米ドル=159円換算(2026年8月26日時点)

審査で見られるのは、有用性、独自性、完成度、WebMCPの使い方が的を射ているか、そして人とエージェントが一緒に使ったときの体験の質です。審査員にはGoogleのChromeチーム、Cloudflare、Shopify、Netlify、Vercelのエンジニアに加え、WebMCPの源流にあたるMCP-Bの作者やOpenAIのブラウザーエージェント責任者が名を連ねます。新規のアプリだけでなく、既存アプリへのWebMCP対応の追加でも応募できます。

エージェント前提のウェブがどこまで広がるか

規格が用意されても、対応するサイトが増えなければ意味がありません。コンテストと実例の同時公開は、まず作り手に手を動かしてもらうための施策と読めます。ブラウザー側の受け皿がChatGPTとChromeの両方でそろい始めたことで、サイト側が対応する動機も生まれやすくなりました。

一方で、サイトが機能を外向けに宣言するということは、エージェントに何をどこまで許すかという線引きが新しく必要になるということでもあります。決済や予約のように取り消しの利かない操作をどう扱うかは、実装が広がってから改めて問われる部分でしょう。

まとめ

OpenAIは8月25日、デスクトップ版ChatGPTアプリの内蔵ブラウザーとChatGPT SitesをWebMCPに対応させました。サイト側が操作方法を構造化して公開し、エージェントがそれを直接呼び出す方式のため、画面の推測に頼る従来の自動操作より安定しやすくなります。あわせて開催中のWebMCP Challengeは日本時間9月4日午前5時が締め切りで、上位10件に3,000ドルの賞金などが贈られます。