Appleは2026年6月30日、クリエイティブアプリ群「Apple Creator Studio」の大型アップデートを発表しました[1]。Final Cut Proにはデバイス上のAIを使った字幕生成や編集点の自動検出が加わり、画像編集アプリのPixelmator ProがFinal Cut ProやKeynote、Pages、Numbersと深く連係します。Logic Proの音楽制作機能も強化され、いずれも本日から提供が始まっています。
Final Cut Proに新しいAIツールが集まる
動画制作アプリのFinal Cut Proには、デバイス上のAIを生かした機能がまとめて追加されました[1]。注目は「Generate Captions」で、音声を自動で書き起こし、生成した字幕をタイムライン上に配置します。フォントや色、位置を調整したり、アニメーションを付けたりすることもできます。なお、この機能は現時点で米国英語のみの対応です。
さらに「Edit Detection」は、すでに書き出された動画を分析し、元のクリップに編集点を自動で反映します。手作業で分割位置を探さなくても、後から微調整したり、共有用にハイライト部分を切り出したりできるようになりました。
Macではこのほか、被写体を自動で認識して切り分ける「Auto Mask」が使えます。AIが肌や髪、空、葉、衣服などを判別するため、手動でのトラッキングは不要です。色合いを参照フレームに合わせる「マッチカラー」も再設計され、より自然な色補正が可能になりました。1フレーム単位で調整できる「Advanced Trimming」や、複数のアスペクト比に対応した「Creator Themes」も加わっています。
関連アプリの強化も見逃せません。Motionにはベクターグラフィックスのネイティブサポートとレイヤーをまとめて配置する「Distribute Layers」が、Compressorには180度のApple Projected Media Profile対応やイマーシブ用のメタデータビューアが追加されました。撮影アプリのFinal Cut Cameraは、クリーンHDMI出力やProRes LTを含むProRes対応の拡張に対応しています。
Pixelmator Proがすべての制作の場に広がる
今回のアップデートで存在感を増したのが、画像編集アプリのPixelmator Proです[1]。Final Cut Proで選んだフレームを直接Pixelmator Proに送り、サムネールやSNS向けのグラフィックスを作って、そのままタイムラインに戻せるようになりました。Keynote、Pages、Numbersでも、書類内の画像を選んでPixelmator Proで開き、編集結果を自動で書類に保存できます。
Pixelmator Pro、Keynote、Pages、Numbersでは、プロジェクトに合ったベクター図形を手早く生成する機能も使えます。作った図形は専用のコレクションに保存され、後から再利用できます。Pixelmator Proには自然言語で画像を作成・編集できる画像生成機能や、高品質な素材を集めたコンテンツハブも広がりました。
Logic ProとiWorkアプリも進化する
音楽制作アプリのLogic Proでは、和音を解析する「コードID」が再構築され、拡張コードや転回形、歪んだギターや調律の狂ったピアノにも対応できるようになりました[1]。これにより、伴奏を自動生成する「Session Player」がコードチェンジへすばやく反応します。グラミー賞受賞プロデューサーのKhris Riddick-Tynesが手がけた楽曲「Shoulda Never」の制作セッションをそのまま見られる「Producer Project」も新たに用意されました。
シンセサイザーのAlchemyには新しいグラニュラー合成モードが加わり、専用の「Granular Alchemy」サウンドパックも提供されます。サンプルを組み替える「Beat Breaker」はMacとiPadに広がり、新しいフィルタやパンのモードが追加されました。
無料のKeynote、Pages、Numbersにも要望の多かった機能が入りました。Keynoteには新しいトランジション、iPhoneとiPad版のPagesには自動ハイフネーションと不可視文字の表示、Numbersにはシートの非表示や色分けが加わります。iOS 27、iPadOS 27、macOS 27では、フリーボードに図形生成やダークモード、フォルダ整理が導入されます。
価格と提供について
Apple Creator Studioのアップデートは本日から提供され、既存のサブスクリプション登録者は無料で利用できます[1]。新規登録者の料金は月額1,780円または年間17,800円で、1か月間の無料トライアルが付きます。新しいMacや対象のiPadを購入した場合は、3か月間無料で使えます。学生と教職員向けには、月額480円または年間4,800円の価格が用意されています。
各アプリはMac App Storeで買い切り購入も可能で、Final Cut Proが50,000円、Logic Proが30,000円、Pixelmator ProとMotion、Compressorがそれぞれ8,000円、MainStageが5,000円です。Keynote、Pages、Numbers、フリーボードは引き続き無料で、すべての新しいiPhone、Mac、iPadに内蔵されています。ファミリー共有を使えば、含まれるアプリやコンテンツを最大6人の家族で共有できます。
まとめ
今回のアップデートは、Final Cut ProのAI字幕や被写体認識、Pixelmator Proの全アプリ連係、Logic Proの音楽制作機能まで、Apple Creator Studio全体を底上げする内容です。多くの機能はデバイス上のAIで動くため、クラウドに頼らず手元で完結できる点も特徴と言えます。動画や音楽、デザインを手がけるクリエイターにとって、日々の制作を後押しする更新になりそうです。
