ソニーがフラッグシップスマートフォン「Xperia 1 VIII」のSIMフリーモデルを国内で発売しました。最大の進化点は望遠カメラで、センサーの面積を前モデルの約4倍へ大型化し、解像度も4倍に引き上げています。頭脳には最新のSnapdragon 8 Elite Gen 5を採用しつつ、3.5mmイヤホンジャックやmicroSDカード対応、2段階式のシャッターキーといったXperiaらしい装備を維持しました。ソニーストアのSIMフリー価格は12GB/256GB構成で235,400円からです。

望遠カメラを刷新、センサーを約4倍に大型化

今回の主役は望遠カメラです。新しい望遠センサーは1/1.56インチと、前モデルの「Xperia 1 VII」が積んでいたものより面積でおよそ4倍に拡大し、画素数も4倍に増えました。センサーが大きいほど取り込める光の量が増えるため、遠くの被写体を切り取ったときの解像感や、暗い場所でのノイズの少なさに直結します。

注目したいのは、ソニーがズームの考え方を大きく変えた点です。Xperia 1 VIIまでは、コンパクトデジタルカメラのようにレンズが連続的に動く連続光学ズームを採用していました。新型のXperia 1 VIIIはこれをやめ、望遠レンズを70mm(メインの24mmレンズから約2.9倍)に固定し、それより高い倍率では4,800万画素の高解像度センサーを生かして寄っていく方式へ切り替えています。

新しい望遠レンズの明るさはF2.8です。前モデルのXperia 1 VIIは3.5倍時にF2.3とより明るく、最大の7.1倍でF3.5まで絞られる仕様でした。固定式に変えたことで構造はわかりやすくなりますが、連続ズームならではの自由度は薄れたかたちです。

残るカメラ構成は前モデルから据え置きで、4,800万画素・1/1.35インチのメイン(24mm F1.9、光学式手ブレ補正付き)と、4,800万画素・1/1.56インチの超広角(16mm F2.0)を組み合わせます。前面のインカメラは1,200万画素(1/2.9インチ、24mm F2.0)です。すべてのカメラにRAW画像を複数枚合成する処理が適用され、明暗差の大きい場面でも白飛びや黒つぶれを抑えながら、暗所のノイズを減らせるとしています。

撮影を支援する「AIカメラアシスタント」

ハードの強化と並ぶ目玉が、新機能群「Xperia Intelligence」の一部として加わったAIカメラアシスタントです。被写体や天候といった撮影シーンをAIが解析し、色味やレンズ効果などの設定について調整候補を提案します。ワンタップで提案をそのまま採用することもできますし、自分でダイヤルを操作して追い込むこともできるため、撮影の知識がある人もない人も使いやすい作りです。

チップ内蔵のAIアクセラレーターを活用するこの機能は、撮影を自動化しつつ、最終的な仕上がりは利用者が選べる点が特徴です。AIに任せきりにするか、自分のこだわりを反映させるかを場面ごとに選べます。

Snapdragon 8 Elite Gen 5を搭載、microSDも継続

性能面では、チップセットを前世代の「Snapdragon 8 Elite」から最新の「Snapdragon 8 Elite Gen 5」へ更新しました。ソニーの説明では、CPU性能が約20パーセント向上し、消費電力は最大で約20パーセント下がるとしています。

構成は12GB RAM/256GBストレージが基本で、上位構成ではRAMを16GB、ストレージを1TBまで選べます。さらに、いまや上位機では珍しくなったmicroSDカードスロットを残している点も特徴で、手持ちのカードで手軽に容量を足せます。写真や動画を多く保存する使い方にも向く仕様です。

6.5型ディスプレイと3.5mmジャック、電池は据え置き

ディスプレイは6.5インチのLTPO有機ELで、リフレッシュレートは最大120Hzに対応します。画面はフラットでノッチやパンチホールがなく、インカメラを上部の額縁に収めているため、表示領域に切り欠きがないのを好む人には魅力的です。一方で解像度はフルHD+クラスにとどまり、かつて4K表示を売りにしていたXperiaシリーズとしては控えめな水準です。

オーディオまわりはソニーの強みが出ています。ウォークマンで培った資産を受け継ぐ3.5mmイヤホンジャックを継続採用し、有線ならではの遅延のないロスレス再生に対応します。本体には左右対称のステレオスピーカーも備え、低音の伸びと高音の抜けを改善して、より広がりのある音場を狙ったとしています。

電池容量は5,000mAhで、充電は有線30W・ワイヤレス15Wに対応します。ただし、この容量と充電速度は前モデルから変わっておらず、競合が大容量電池や高速充電を競う現状では見劣りする部分です。本体の重さは約200gです。

カラーと価格、発売

本体カラーは天然素材から着想を得た4色で、グラファイトブラック、アイオライトシルバー、ガーネットレッド、ネイティブゴールドがそろいます。縦向き・横向きのどちらでも使えるスタンド内蔵の純正ケースも用意され、黄ばみにくい半透明素材を採用しました。

ソニーストアのSIMフリー価格は、12GB/256GBが235,400円、12GB/512GBが251,900円、16GB/512GBが268,400円、16GB/1TBが299,200円です。国内のSIMフリーモデルは6月11日に発売され、予約・購入者を対象に1万5000円分のキャッシュバックキャンペーンも実施されています。なお、海外では5月にホンコンで先行発売され、欧州でも6月19日に出荷が始まっています。

まとめ

Xperia 1 VIIIは、望遠センサーを約4倍に大型化し、Snapdragon 8 Elite Gen 5やAIカメラアシスタントを取り入れた、カメラと処理性能を磨いたフラッグシップです。3.5mmジャックやmicroSD、シャッターキーといった作り込みを残した点は、こだわり派にとって変わらぬ魅力と言えます。一方で、連続光学ズームの廃止やフルHD+止まりの解像度、据え置きの電池・充電速度には割り切りも見られます。カメラと拡張性、有線オーディオを重視する人にとっては、依然として個性の際立つ選択肢になりそうです。