AI回答エンジン「Perplexity」を手がけるPerplexity AIと、医療データ主権の確立を掲げる国民健康基盤(NHF)が、日本における次世代医療AIインフラの開発に向けた戦略的連携の基本合意書(LOI)を締結しました[1]。日本国内のガバナンス下で運用される国産医療LLMと、Perplexityの高精度な回答技術を組み合わせ、データを国外に持ち出さない形での医療AI活用を目指す内容です。

国産医療LLMとPerplexityを組み合わせる狙い

今回の提携は、両者が日本国内における医療AI基盤の設計や高度化を共同で進めるものです[1]。NHFは内閣府やNEDOの支援のもとで育成された国産の医療LLMを保有しており、Perplexityはここに自社の回答精度や使いやすさを掛け合わせる役割を担います[1]。

提携の枠組みで動く具体的なテーマは、大きく7つに整理されています[1]。

  • 日本国内医療AI基盤の設計・高度化
  • 国産医療LLMと海外先端AIの連携モデル構築
  • 個人健康記録(PHR)活用サービスの開発
  • 患者向けヘルスナビゲーション機能の実装
  • 医療従事者向け意思決定支援ツールの開発
  • 自治体・病院との実証事業推進
  • 安全性・正確性・説明可能性を備えた医療AIサービス開発

少子高齢化や医療従事者不足という構造的な課題に対し、AIによる業務支援や患者向け案内をどこまで実用レベルに引き上げられるか、産官学が一体で取り組む流れに沿った提携と言えます[1]。

データ主権を守るためのゼロ・リテンション方針

医療データを扱う以上、提携で最も重く扱われているのが「データ主権」の維持です[1]。NHFは国民の健康情報を国家安全保障に関わる資産と位置づけており、日本国内のガバナンスの中でデータとAI基盤の中核を管理する方針を打ち出しています[1]。

Perplexity側はこの方針を技術パートナーとして支える立場です。具体的には、NHFの枠組みにおいて日本の個人データがPerplexity側に送信されない構成を採り、信頼できる日本国内の環境で厳格に保護される設計が示されています[1]。さらにPerplexityは顧客データを自社のAIモデル学習に利用せず、フロンティアモデルを自前で学習する開発企業ではないため、そもそも学習に流用するインセンティブを持たないと説明しています[1]。

加えてPerplexityは、データを保持しない「ゼロ・リテンション(データ非保持)」を徹底する運用方針を強調しました[1]。これにより、日本の個人健康情報を国内のガバナンスの中で守りつつ、海外発の先端AI技術にもアクセスできる、いわば「主権を維持したまま海外AIを使う」設計が可能になります[1]。

両者の代表コメントから読み解く位置付け

両代表のコメントは、今回の提携の性格を端的に表しています。NHFの鍵本忠尚 代表取締役会長は、国民の健康情報を「国家安全保障そのもの」と表現し、日本国内で医療データとAI基盤の中核を管理する重要性を強調しました[1]。そのうえで、内閣府やNEDOの支援で育てた国産基盤と世界最先端技術を両立させる象徴的な取り組みと位置づけています[1]。

Perplexity AIの最高ビジネス責任者(CBO)Dmitry Shevelenko氏は、自社の役割を「フロンティアモデルにデータが渡らない安全な方法で、世界最高のAIモデルへのアクセスを提供すること」と説明しました[1]。フロンティアモデルの学習を自社で行わない立場と、ゼロ・リテンションの運用方針を併せて示すことで、医療データを扱う際の利益相反リスクを抑える設計であることを訴えています[1]。

Perplexityは2022年に設立されたAI企業で、出典明示付きで質問に回答する「Perplexity」を中核に、AIブラウザ「Comet Browser」や大規模マルチモデル・オーケストレーション基盤「Perplexity Computer」を展開しています[2]。現在は世界中で毎月15億件以上の質問に回答しているとされ、規模と知名度の両面で日本市場の医療AIに参入するパートナーとしては申し分のないプレイヤーです[2]。

まとめ

PerplexityとNHFの提携は、海外発のフロンティアAIをそのまま日本の医療現場へ持ち込むのではなく、国産医療LLMを軸にしたガバナンスの中に組み込む設計が特徴です。データを国外に出さず、学習にも使わせない前提で世界水準のAIを活用する枠組みが実際に回り始めれば、患者向けナビゲーションから医療従事者向け意思決定支援まで、AI活用の現実的な選択肢が一段増えそうです。今後は自治体や病院との実証事業がどこから始まるかが、提携の真価を測る最初の試金石となります[1]。

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000157647.html

出典:https://www.perplexity.ai/