AI検索大手のPerplexityは7月9日、Futaba Labグループ、SBIグループのDeFimans、日鉄ソリューションズ、SMBC日興証券らとの間で、デジタルアセット領域における次世代執行基盤の共同検証に向けた基本合意書(MoU)を締結したと発表しました[1]。伝統金融市場とオンチェーン・オフチェーン市場を横断した取引の最適化を目指す共同検証(PoC)で、PerplexityはAIによる取引分析や仮説生成、エージェント構築の面から参画します。
5社が連携、分断された市場の横断を目指す
今回の基本合意に参加するのは、Perplexityのほか、Futaba Labグループの海外事業子会社であるANDLAW FZCO(UAE)、SBIグループでブロックチェーン領域のコンサルティングを手がけるDeFimans、証券市場向け基盤システムの開発実績を持つ日鉄ソリューションズ、そしてSMBC日興証券の5社です[1]。
背景にあるのは、金融商品のトークン化が実験段階から社会実装段階へ移りつつある一方で、市場ごとに流動性や価格形成、執行環境が分断されているという課題です。暗号資産ETF、ステーブルコイン、トークン化有価証券など多様な商品が拡大するなか、複数市場を横断して取引機会を評価・実行するための基盤整備は依然として限定的だと5社は指摘しています[1]。発表によれば、ステーブルコインの発行・流通量はグローバルで3,000億ドル(約49兆円)に達し、ステーブルコインを除くオンチェーンRWA(Real World Assets、現実資産のトークン化)市場も300億ドル(約4.9兆円)を超えるなど、市場の拡大は急速に進んでいます[1]。
※1ドル162円換算
AI活用を含む4つの検証テーマ
本PoCで共同検証するテーマは大きく4つあります。1つ目は複数市場にまたがる価格情報の取得・統合といったデータ統合、2つ目は現物・デリバティブを横断した戦略検証や公開情報に基づく取引仮説の生成・検証支援などの戦略設計・分析です。3つ目のAI活用では、LLMアグリゲータの使用や「Perplexity Computer」による検証基盤の構築を進めます。4つ目として、機関投資家・金融機関向け執行基盤の技術検証にも取り組みます[1]。
特徴的なのは、単一市場・単一商品に閉じず、戦略設計から実装、検証、市場接続までを一気通貫で共同検証する点です。Futaba Labグループがオーダー処理実績を持つ執行基盤をベースに、中央取引所とオンチェーンを横断し、現物・デリバティブを含む複数商品の価格・流動性・市場特性を統合的に扱う次世代執行基盤の実現を目指すとしています[1]。
「金融は極めて重要なセクター」とPerplexity
Perplexityで最高事業責任者(CBO)を務めるドミトリー・シェヴェレンコ氏は、「金融はPerplexityにとって極めて重要なセクター」と位置づけ、AIを活用した情報集約能力の提供を通じて、市場関係者が公開情報をより正確に解釈できるよう支援していく考えを示しています[1]。AI検索・回答エンジンで知られる同社が、日本の大手証券会社やシステムインテグレーターと組んで金融インフラの検証に踏み込む形となり、AI企業の金融分野への進出例としても注目されます。
今後は本番環境を見据えた技術検証・実装検討を段階的に進め、中長期的にはデジタルアセット市場にとどまらず、ETF、ステーブルコイン、トークン化証券、FX、コモディティなどを含む広範な金融市場のデジタル化を見据えた横断的な執行基盤の構築を目指すとのことです[1]。
まとめ
PerplexityがFutaba Labグループ、DeFimans、日鉄ソリューションズ、SMBC日興証券らと、デジタルアセットの次世代執行基盤に関する共同検証を開始しました。トークン化が進む金融市場の分断という課題に対し、AIによる分析・エージェント構築を組み合わせて挑む取り組みです。AI検索の枠を超えて金融インフラ領域へ踏み出すPerplexityの動きは、今後のAI各社の事業展開を占ううえでも見逃せません。
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000028.000157647.html
