OpenAIは2026年6月11日(米国時間)、セキュアなクラウド実行・オーケストレーション技術を手がけるOnaを買収すると発表しました。急拡大するCodexエコシステムにOnaの技術を取り込み、AIエージェントが手元のPCから切り離されたクラウド環境で、数時間から数日にわたるタスクを継続実行できるようにする狙いです[1]。
週間500万人が使うCodex 次の課題は「ノートPCを閉じても動き続ける」こと
Codexの週間利用者は現在500万人を超えており、年初から400パーセント増という急成長を続けています。当初はソフトウェア開発者向けのツールでしたが、現在では調査・分析・自動化など、より幅広い職種の複雑な業務を最初の依頼から成果物の完成まで支援する存在になっています[1]。
OpenAIによると、Codexの能力向上にともない、価値の高い仕事ほど数分ではなく数時間〜数日単位で進行するようになってきたとのことです。そこで同社は、作業を開始したマシンに縛られることなく、より野心的な仕事を委任できるようにすべきだと考えています。最初のセッションが終わっても作業は継続され、ユーザーはどこからでも進捗確認・方向付け・意思決定・成果のレビューを行える、という姿です[1]。
Onaの技術は、エージェントが必要なツール・システム・コンテキストにアクセスしながら時間をかけて作業を進められる、セキュアで永続的な実行環境を提供します。買収によりCodexを「単一のデバイスやアクティブなセッションに縛られた作業」の外へ拡張し、より多くの組織が本番環境でエージェントを安全に展開できるようにするとしています[1]。
Onaは旧Gitpod クラウド開発環境で200万人の開発者を支援
Onaは、ソフトウェア開発の場をローカルマシンからクラウドへ移す取り組みを長年続けてきた企業です。ドイツ・キールで「Gitpod」として創業した経緯を持ち、これまでに200万人の開発者がセキュアで再現可能なクラウド環境で作業するのを支援してきました。OpenAIとは複数の共通顧客も抱えています[1][2]。
この経験は、ノートPCを閉じたあともエージェントが顧客のクラウド環境内で作業を続けられるようにするという、Codexの次のフェーズにそのまま生きるとOpenAIは説明しています[1]。
「顧客管理型」の実行モデル 企業のクラウド内でエージェントが動く
企業がエージェントを実験段階から本番ワークフローへ展開する際に必要なのは、高性能なモデルだけではありません。エージェントがどこで実行されるか、何にアクセスできるか、認証情報の権限範囲、活動ログの記録、レビューを経た作業の進め方といった、セキュリティ・ガバナンス・運用の要件を満たした環境で動いている確信が必要だとOpenAIは指摘します[1]。
Onaの顧客管理型(customer-controlled)実行モデルでは、エージェントは企業自身のクラウド環境の内側で動作し、OpenAIは体験を支える知能とオーケストレーションを提供します。これにより企業は、Codexの能力を制限することなく、インフラ・データ・セキュリティ境界に対するコントロールを保てるとのことです[1]。
買収は規制当局の承認を含む通常のクロージング条件の充足を前提としており、完了までは両社は独立した企業として運営されます。完了後、OnaチームはOpenAIに加わり、Codexチームとともにセキュアで永続的なエンタープライズ実行基盤の開発と、Codexの世界展開の拡大に取り組む予定です。なお、発表では買収金額などの条件は明らかにされていません[1]。
まとめ
今回の買収は、Codexを「開発者のコーディング支援ツール」から「組織の中で動き続けるエージェント基盤」へ進化させる布石といえます。旧Gitpodとしてクラウド開発環境を磨いてきたOnaの技術が、ノートPCを閉じても仕事が進む世界をどこまで現実にするのか。エージェントの長時間自律実行は各社が競う領域だけに、Codexの次のアップデートに注目です。
出典:https://openai.com/index/openai-to-acquire-ona
出典:https://www.startbase.com/news/openai-holt-deutsches-startup-ona-ins-codex-team
