OpenAIは、AIエージェント「Codex」のmacOS版アプリに、作業の手順を一度実演して見せるだけで再利用できる新機能「Record & Replay(記録と再生)」を追加しました。バージョン26.616として配信されており、利用者が画面上で実際に操作してみせると、Codexがその流れを「スキル」として覚え、次回からは自分で同じ作業を進めてくれます。文章で細かく指示しなくても自動化できる点が、これまでとの大きな違いです。

操作を見せれば、手順を覚えてくれる

これまでAIに定型作業を任せるには、何をどの順番で行うかを言葉で細かく説明する必要がありました。Record & Replayはこの前提を反転させます。利用者がCodexの前で目的の作業を一度こなして見せると、Codexは画面の内容と操作の流れを観察し、その手順を再現できる形で記録します。

記録が終わると、Codexの言語モデルが一連の操作を読み解き、作業手順を人が読める形にまとめた「SKILL.md」という指示書を自動で作成します。これがそのまま再利用可能なスキルになり、以降は録画し直すことなく呼び出せます。再生時にはCodex本体に加えて、画面を直接操作する「Computer Use」、ブラウザ操作、プラグインなどを組み合わせ、同じ作業を最後まで実行できます。

「説明できないが、やり方は知っている」を埋める

この機能の核心は、スキルを作るのが利用者ではなくAI側だという点にあります。作業の意図や手順を言語化してAIに伝えるのは、慣れていないと意外に難しいものです。Record & Replayは、その言語化の工程を丸ごと省きます。

つまり「やり方は体で覚えているが、言葉で正確に説明するのは苦手」という人でも、実際にやって見せるだけで自動化にたどり着けます。OpenAIは具体例として、メタデータやサムネイル、字幕を添えてYouTubeへ動画をアップロードする一連の流れを挙げています。ほかにも、経費の申請、駐車場の予約、設定の整った課題(Issue)の作成、動画の公開、定期的なレポートのダウンロードなど、毎回手順が決まっている作業との相性が良いとしています。

対応プランと利用の条件

Codexアプリ自体は無料でダウンロードできますが、実際に使い込むには有料のChatGPTプランが必要です。Record & Replayは、ChatGPTのPlus・Pro・Business・Enterprise・Eduの各プラン向けに提供されます。

利用にあたっては、画面を直接操作する「Computer Use」を有効にしておく必要があります。一方で提供地域には制限があり、EU(欧州連合)・英国・スイスでは現時点で利用できません。なお前提となるComputer Use自体は、EUでは6月16日から使えるようになっています。

同時に加わった改良点

今回のバージョン26.616では、Record & Replay以外にもいくつかの改良が入りました。自動化の履歴をまとめて操作できる一括処理に対応したほか、作業中のスレッドをローカルの端末と遠隔のホストの間で受け渡せるようになり、接続した別のマシンで作業を続けられます。Codexはもともとコーディングを支援するAIエージェントですが、こうした更新を重ねることで、机仕事全般を自動化する道具へと役割を広げつつあります。

まとめ

Record & Replayは、AIに作業を任せる際の「説明する」という手間を、「やって見せる」という直感的な操作に置き換える機能です。一度の実演からCodexが手順書を起こし、再利用できるスキルに変えてくれるため、定型作業を自動化するハードルが下がります。Computer Useの有効化や提供地域の制限といった条件はありますが、コーディングの枠を超えて日々の繰り返し作業を任せたい人にとって、試す価値のある一歩と言えそうです。