NVIDIAがオーストラリアのデータセンターおよびクラウド事業者8社と提携し、2027年までに最大2ギガワット規模のAI計算基盤を新たに構築すると発表しました。オーストラリア国内の既存の計算基盤は約1.6ギガワットとされており、計画どおり進めば国内の容量は倍以上に膨らむ計算です。大規模なGPU導入や新設データセンターの建設が各社で一斉に動き出します。
8社が参加する大型パートナーシップ
今回の提携に参加するのは、Firmus、Sharon AI、IREN、Megaport(完全子会社のLatitude.shを通じて参加)、ResetData、CDC、NEXTDC、AirTrunkの8社です。調査会社DC Byteの集計によると、オーストラリア国内の計算基盤の容量は現時点でおよそ1.6ギガワットです[2]。今回示された最大2ギガワットは既存分を含めた総量ではなく、2027年までに新たに積み増す計画値であり、実現すれば国内の容量は倍以上になります。データセンター運営会社からネットワーク事業者まで幅広い顔ぶれがそろっており、単独の巨大施設ではなく、複数事業者による分散型の拡張という形を取っているのが特徴です。
各社が進める大規模インフラ投資
参加企業はそれぞれ独自の投資計画を進めています。Sharon AIは最大68,000基のNVIDIA製GPUを、専用に設計されたネットワーク環境とあわせて導入する計画です。IRENは南オーストラリア州で800メガワット規模の「Bundeyキャンパス」を開発中で、同社の開発ポートフォリオの中核に位置づけられています[1]。CDCはオーストラリアとニュージーランドで既に550メガワット超の施設を運用しており、さらに800メガワット分を建設中です。CDCはこれらの施設で100パーセント再生可能エネルギーによる電力を使用していると説明しています。
NVIDIAが掲げる「AIファクトリー」構想
NVIDIAでグローバルAIクラウド・インフラエコシステムを統括するRaj Mirpuri副社長は、「AIファクトリーはエネルギーを知能へと変える存在であり、AI経済にとって不可欠な資源だ」とコメントしています。同社は今回の提携を、施設・演算基盤・ネットワーク・ソフトウェア・リファレンス設計を一体で提供する「フルスタック」型のAIファクトリー戦略の一環と位置づけています。参加企業側からも前向きなコメントが相次いでおり、FirmusのOliver Curtis氏は今回の「Project Southgate」を豪州のAIの未来に対する具体的なコミットメントだと述べ、Sharon AIのJames Manning氏はオーストラリアがAI分野を主導するためのエネルギー、接続性、意欲を備えていると語っています。
企業や研究機関の需要に応える
背景にあるのは、スタートアップや大学、研究機関、一般企業からの高性能AI計算資源への需要の急増です。実際にこの基盤を活用する事例として、医療分野のHeidiと、コラボレーションツール大手のAtlassianの2社が挙げられています。HeidiはNVIDIAのオープンモデル「Nemotron」と自社の臨床知識を組み合わせた音声主導のAIを、Atlassianは同モデルを使って企業向け検索「Rovo」のセマンティック検索の高度化を、それぞれ進めているといいます。国内需要だけでなく、地域全体やグローバルなAI計算需要を支える拠点としての役割も期待されています。
まとめ
NVIDIAは豪州の8つのデータセンター・クラウド事業者と提携し、2027年までに最大2ギガワット規模のAI計算基盤を新設する計画を明らかにしました。既存の約1.6ギガワットに上積みされるため、実現すれば国内の容量は倍以上になります。GPUの大量導入や大規模施設の開発が各社で進んでおり、再生可能エネルギーの活用や医療・企業向けAIアプリケーションへの展開など、単なるハードウェア増強にとどまらない取り組みとして注目されます。
