Metaは、AIグラスの録画中を知らせるLEDを覆ったり壊したりした端末を検知し、数千台規模でカメラ機能を止めたことを明らかにしました。同社のウェアラブル部門を率いるAlex Himel氏が2026年9月1日に語ったもので、対象は販売台数全体の0.1パーセント未満と説明しています。改造されたグラスは写真も動画も撮れなくなり、残るのは音声機能だけです。
「録画中ランプ」を潰す改造が広がっていた
Ray-Ban MetaやOakley Meta、自社ブランドのMeta Glassesなど、Metaが手がけるAIグラスには、フレーム前面に白色の「キャプチャLED」が付いています。写真を撮ると短く点滅し、動画の撮影中は点滅が続く仕組みで、周囲の人に撮影中であることを知らせる役割を担っています。このLEDには電源を切るスイッチがありません。
ところが、周囲に気付かれずに撮影したい一部の利用者が、テープでLEDを覆ったり、LEDそのものを物理的に改造・破壊したりする手口に及ぶようになりました。無断で他人を撮影したり、SNS向けの動画を撮るために通行人に絡んだりする事例が報じられ、職場によってはAIグラスの持ち込み自体を禁じる動きも出ています。2026年8月には日本でもMeta Glassesの販売が始まっており、この問題は日本の利用者にとっても他人事ではありません。
3段階で強化された検知の仕組み
Metaの対策は段階的に強まってきました。第2世代のグラス以降、LEDが覆われていることを検知すると撮影を開始できない仕様になっていました。しかし、テープで塞ぐ程度の手口を防いでも、LEDそのものを改造・破壊する巧妙な手法が出てきたため、2026年7月には、LEDが物理的に改変または破壊されたと判断した場合にカメラを無効化するアップデートを配信しています。
さらに8月末には、「撮影を始めてからLEDを覆う」という抜け道への対処も始まりました。録画中にLEDが遮られた時点でカメラが動作を止める修正で、Himel氏がThreadsで順次配信を告知しています。今回の数千台という数字は、こうした検知機能の強化を経て実際に無効化された端末の規模を初めて示したものです。
対象となった台数について、Metaは具体的な数を公表していません。ただ、AIグラスは2025年だけで700万台が売れており、そこに2026年の販売分を加えた総数の0.1パーセント未満と考えると、数千台という規模になります。テープで覆っただけの端末は、覆いを外せば撮影機能が戻りますが、LEDを壊した端末は元に戻せません。
改造サービスの排除と啓発キャンペーンも
端末側の対策と並行して、MetaはLED改造を請け負う業者の排除にも動いています。自社のプラットフォーム上で改造サービスを宣伝する広告、投稿、Marketplaceの出品を削除し、悪質なアカウントには停止を含む措置を取るとしています。改造サービスを販売する個人や事業者に対しては、自社プラットフォームの内外を問わず法的措置も辞さない構えを示しています。
あわせて、SNSと屋外看板を使った啓発キャンペーンも展開します。「グラスで撮影されているときはどう見分けるか」を一般の人に広く知ってもらうのが狙いで、白く点滅するLEDの意味を周知する内容です。
Himel氏はこの状況を「いたちごっこ」と表現し、対策が完全に終わることはないだろうと述べています。新しい回避策は必ず出てくるため、監視と対策の更新を続けていくという姿勢です。
視覚障害者向けの用途も並行して推進
カメラの悪用対策を進める一方で、Metaは同じカメラを福祉用途に生かす取り組みも強調しています。目の前のメニューを読み上げるといった使い方は、全盲や弱視の人にとって実用的で、同社は米国の法定盲の退役軍人に13万台のグラスを寄贈すると発表しました。
Himel氏によると、Metaは米国の保健当局からグラスを補助機器として認定してもらうことに「強い関心」を持っており、実現すればMedicareやMedicaidといった公的保険の対象になる道が開けます。一方、視覚障害者コミュニティから要望の多い顔認識機能については、現時点で取り組む予定はないとしています。
まとめ
Metaは、録画中を示すLEDを覆う・壊す改造を検知し、数千台のAIグラスでカメラを無効化しました。撮影開始時の遮蔽検知に始まり、物理的な破壊の検知、録画途中で覆う手口への対処と、検知は3段階で強化されています。改造業者の排除や啓発キャンペーンも進める一方、視覚障害者向けの寄贈や補助機器認定への意欲も示しており、カメラ付きウェアラブルの信頼をどう築くかが、普及の次の段階を左右しそうです。
