メモを書く場所と、AIエージェントが読み書きする場所を1つにまとめてしまう。そんな発想で作られた無料のメモ帳アプリ「Hubble.md」が、開発者の間で注目を集めています。保存されるのは独自形式ではなく、ごく普通のMarkdownファイルです。同じフォルダをClaude Codeなどのコーディングエージェントに渡せば、AIが直接メモを編集し、その結果がアプリ側へ反映されます。ライセンスはMITで、ソースコードもすべて公開されています。

保存されるのは独自形式ではなく、ただの.mdファイルです

Hubble.mdはフォルダ単位でメモを扱うデスクトップアプリです。起動して任意のフォルダを登録すると、その中にある.mdファイルがサイドパネルに並びます。すでに手元にMarkdownのメモがたまっている人は、そのフォルダをそのまま開けば移行作業は不要です。

この「ただのファイル」という点が、実のところ最大の設計思想です。独自のデータベースに内容を閉じ込めるタイプのメモアプリでは、外部のツールから中身を触るためにAPIやプラグインを用意する必要があります。Hubble.mdはファイルシステムをそのまま共有の窓口にすることで、その手前の仕組みを丸ごと省いています。

書き心地はNotionやApple Notesに寄せてあります

ファイル志向だからといって、素のテキストエディタというわけではありません。「/」を入力すると見出しや箇条書き、引用などをコマンドから挿入でき、「##」や「-」といったMarkdown記法を直接打っても対応する書式へ変換されます。NotionやApple Notesを使ってきた人が違和感なく移れる操作感を狙った作りです。

メモにはプロパティも付けられます。「Add property」からカテゴリー、ステータス、タグといった属性を追加すると、Markdownファイル先頭のfront matterとして書き込まれます。人間にとっては整理用のラベルですが、AIエージェントにとっては、そのメモがどの種類に属していてどのような状態なのかを読み取る手掛かりになります。

エージェントの呼び出しはアプリの中で完結します

メモ画面右上のメニューから「Chat about this note」を選ぶと、編集画面の下部にシェルが開き、開いているメモを読み込んだ状態でClaude Codeが起動します。エディタとターミナルを行き来する必要はありません。既定ではClaude Codeが立ち上がりますが、設定画面から別のエージェントに切り替えられます。

エージェントがファイルを書き換えると、Hubble.md側はライブリロードで内容を反映します。AIが下書きを作って人間が直す、という往復が同じ画面の中で回る形です。旅程を立てさせて本文に追記させる、といった使い方がそのまま成立します。

メモの束をHTMLアプリに変える機能もあります

Hubble.mdがMarkdownの外へ踏み出しているのが、HTMLアプリの機能です。公式が配布しているスキルを導入したうえで、コーディングエージェントに「この内容を地図にして」といった指示を出すと、HTML形式のファイルが生成されます。生成されたファイルはアプリ内で開くと、静止した画像やプレビューではなく、操作できるアプリとして動きます。

例として挙げられているのは、テーブル、本棚、地図といった見せ方です。要はHTMLで書けるものであれば何でもビューにできるという設計で、表示形式を増やすにはアプリ側の対応を待つ、という従来の前提がここでは崩れています。

開発途上の部分も残っています

現時点で配布されているのは0.1系のバージョンで、完成品として売り出されている段階ではありません。公式リポジトリを見ると、ブラウザ版とファイル同期エンジンには開発途上である旨がはっきり書かれています。

対応環境も確認しておく必要があります。READMEには、開発者が動作を確認できているのはmacOSで、WindowsとLinuxについては未検証であり、対応の貢献を歓迎すると記されています。導入を検討する際は、自分の環境で動くビルドが用意されているかを先に確かめておくのが安全です。

一方で、ライセンスはMITと明快です。フォークして自分用に改造することも、業務で使うことも制限されません。エディタの中核にはTiptapが採用され、リポジトリはpnpmのワークスペースとして整理されています。手を入れたい開発者にとっては読み解きやすい構成です。

まとめ

Hubble.mdは、メモの保存形式をMarkdownのままにしておくことで、AIエージェントと連携するための仕掛けを最小限に抑えたメモ帳アプリです。スラッシュコマンドやfront matterによるプロパティといった書き心地の部分は既存のノートアプリに寄せつつ、HTMLアプリの生成という飛び道具も用意されています。まだ0.1系でmacOS中心という制約はありますが、AIに任せる前提でメモ環境を組み直したい人にとっては、試す価値のある方向性だと言えます。