Honorが、カメラ部が本体からせり出して自ら動く異色のスマートフォン「Robot Phone」を、2026年8月12日に発表すると明らかにしました。同社は中国での撮影技術イベントで背面3眼の構成と自社設計の画像処理チップを公開しており、ドイツの映画用カメラメーカーARRIとの協業で映画制作の色設計を持ち込む点も打ち出しています。まずは中国市場が先行し、予約はすでに始まっています。
発表日はPixel 11と同じ8月12日
Honorが公式に示した発表日は8月12日です。同じ日にはGoogleがPixel 11シリーズを披露する予定で、注目度の高い日程がぶつかる形になりました。ただしRobot Phoneは現時点で中国向けの製品で、グローバル展開の時期は示されていません。日程が重なっても直接の競合にはなりにくい位置づけです。
予約は公式サイトですでに受け付けが始まっています。先行して購入したい人は500元(約1万2000円)の予約金を支払う仕組みですが、これは優先的な購入窓口が開くだけで、実機の確保や色・容量の指定を保証するものではありません。注文の確定期間に入ってから希望の構成を選び、Honorが受け付けたあとは24時間以内に残額を払う流れです。供給に限りがあるため、支払いを済ませた順に割り当てられます。
※1元23.8円換算(2026年7月31日時点)
本体からせり出すジンバルアーム
Robot Phoneの見どころは、本体上部に組み込まれた機械式のジンバルです。4自由度で動くチタン製のアームに小型モーターを組み合わせた構造で、一般的なジンバル機構と比べて占有する体積を70パーセント削減したとされています。普段はアームを本体に収めておき、撮影時にワンタップで展開する使い方を想定しています。
展開後は360度の回転が可能で、被写体を自動で追いかけながら構図を調整します。手ぶれ補正の性能はCIPA規格で5.5段相当と説明されており、別途スタビライザーを持ち歩かなくても歩きながらの動画撮影に耐える水準です。
この動きを支えるのが、Honorが自社で開発した小型モーターです。重量はわずか2.6グラムで、既存のジンバル用モーターと比べてサイズを65パーセント小さくしつつ、トルク密度を35パーセント高めたといいます。同社はこの機構だけで100件を超える特許を取得していると説明しています。折りたたみスマートフォンのヒンジ開発で積み上げた小型化と信頼性の知見が、そのまま生きている部分です。
2億画素の主カメラと自社設計のISP
カメラは背面3眼です。主カメラは1/1.28型・F1.6の2億画素センサーで、これがジンバルに載ります。残る2つは本体に固定されており、5000万画素の超広角と、2億画素のペリスコープ望遠という構成です。望遠まで2億画素を割り当てるのは、切り出しを前提とした設計と考えられます。
画像処理を担うのは、Honorが新たに開発した自社ISP「Yuguang H1」です。ホワイトバランス、露出、階調、フレアの抑制、ディテールの補強といった処理を3つのカメラをまたいで端末上でリアルタイムに行います。加えて、動きながらの撮影を安定させる補正エンジン「AIMAGE 2.0」も搭載されます。
この撮影技術はRobot Phoneだけで終わらせない方針で、今後のHonor製スマートフォン、たとえばMagic 9シリーズにも展開される見通しです。
ARRIとの協業が持ち込むもの
もう一つの柱がARRIとの技術協業です。両社は2026年3月に戦略的な技術提携を結んでおり、その成果がRobot Phoneで形になります。具体的には、映画制作で使われるLogC3の記録形式、広い色域を扱うARRI Wide Gamut 3、そして色づくりのプリセットにあたるARRI Looksが端末に組み込まれます。
これは撮って出しの見栄えを整えるフィルターとは狙いが異なります。LogC3は明るさと色の情報をできるだけ残した状態で記録し、編集の段階で追い込む余地を確保するためのものです。端末側ではLUTによるカラーグレーディングに対応し、ピント・ホワイトバランス・露出を手動で固定する操作も用意されます。カメラの動きのデータを書き出せる点も、後工程での合成や調整を前提とした作りといえます。両社は共同の撮影技術ラボを設ける計画も示しています。
中身と販売構成
プロセッサーはSnapdragon 8 Elite Gen 5です。ソフトウェア面では、Honorが準備している新しい「AgenticOS」の中核を最初に載せる端末になる可能性が指摘されています。本体色はStar Trail SilverとMoon Shadow Grayの2色、メモリーとストレージの組み合わせは12GB+512GBと16GB+1TBの2構成が用意されます。
なおHonorは、AI端末のエコシステム企業として次の段階に入ったとして、企業ロゴの刷新も済ませています。可動するカメラを積んだ端末は、その方向性を分かりやすく示す看板役になりそうです。
まとめ
Honor Robot Phoneは、4自由度で動くチタン製ジンバル、2億画素の主カメラと自社ISP「Yuguang H1」、そしてARRIの色設計という3つを軸にした端末です。発表は8月12日で、まずは中国市場が対象となります。可動部を抱えた構造の耐久性や、実際の動画品質がどこまで映画的な仕上がりに届くのかは、実機が出てからの評価を待つ必要があります。
