OpenAIは7月9日(現地時間)、最新のフラッグシップモデル「GPT-5.6」を発表し、あわせて同モデルがMicrosoft 365 Copilotの優先モデル(preferred model)になることを明らかにしました[1]。Word、Excel、PowerPoint、Copilot Chat、Coworkといった日常の業務ツールに最新モデルが組み込まれ、文書作成やデータ分析の品質向上が期待できます。

Copilotの「優先モデル」にGPT-5.6を採用

今回の発表によると、GPT-5.6はMicrosoft 365 Copilotの新しい優先モデルとして、Word、Excel、PowerPoint、Copilot Chat、Coworkの各アプリで採用されます[1]。Microsoft 365の利用者は、毎日使い慣れたツールの中でOpenAIの最新モデルによる支援を受けられるようになります。

提供の仕組みも特徴的です。MicrosoftはGPT-5.6を自社サービス内でネイティブに提供することに加えて、OpenAIのAPIを直接利用する形でもMicrosoft 365の顧客へ届けるとしています[1]。MicrosoftでCopilot・エージェント中核部門のプレジデントを務めるNitin Agrawal氏(President, Copilot & Agents Core)は、文書の下書きからデータ分析、プレゼン資料の作成まで、より洗練された成果物を作れるようになると述べています[1]。

アプリごとに何が変わるのか

OpenAIは、GPT-5.6によって各アプリで次のような改善が見込めるとしています[1]。

Wordでは、文書の下書き・編集・推敲を、これまでより少ないやり取りで仕上げられるようになります。Excelでは、トークンを効率的に使いながらより深い分析ができるようになり、データから示唆へ到達するまでの時間短縮につながります。PowerPointでは、初期のアイデアを、細かな指示を減らしつつ視覚的に整ったプレゼン資料へ変換できるようになります。複数部門にまたがる作業を進めるCoworkでは、手作業での調整を減らしながら、複雑で横断的な仕事を質の高い成果物にまとめられるとしています。

いずれも「少ない手間でより良い成果物を」という方向で共通しており、GPT-5.6の設計思想である「1トークンあたりの有用な仕事量を増やす」という考え方がそのまま反映されています[1]。

GPT-5.6はどんなモデルか

GPT-5.6は、7月9日に投入されたOpenAIの最新モデルファミリーです。最上位に位置づけられる「Sol」に加え、より軽量でコスト効率を重視した「Terra」「Luna」をそろえた3層構成で、旗艦用途から大量処理向けまでを1つのシリーズでカバーします[2]。

OpenAIの発表値によると、55分野の長時間エージェント作業を評価するベンチマーク「Agents' Last Exam」で、GPT-5.6 Solは53.6という過去最高スコアを記録し、Anthropicの「Claude Fable 5」(適応推論)を13.1ポイント上回ったとしています。中程度の推論設定でもFable 5を11.4ポイント上回り、推定コストはおよそ4分の1だと主張しています。下位のTerraとLunaも、約16分の1の推定コストでFable 5を上回る性能を示したとしています[2]。いずれもOpenAI自身が公表した数値のため、第三者による検証はこれからという段階です。

微妙な時期の「蜜月」アピール

今回の発表は、両社の関係を巡る報道が続く中でのものでもあります。複数の海外メディアは、Microsoftがコスト管理の一環として、Microsoft 365向けに自社開発のAIモデル(MAI)を整備しつつあると伝えています。「優先モデル」という控えめな言い回しは、OpenAIのモデルがその座を保ちつつ、Microsoftが自社モデルの開発を並行して進める、という両方の状況を同時に成り立たせる余地を残すものだと指摘されています[3]。

そうした観測が広がる中で、OpenAIのAPIプロダクト責任者Nikunj Handa氏は「Microsoft 365は何百万人もの人々が毎日書き、分析し、創造し、協働する場所だ」と述べ、両社の提携関係の継続を強調しました[1]。優先モデルという位置づけを前面に打ち出した今回の発表には、パートナーシップの健在ぶりを示す狙いも読み取れそうです。

まとめ

OpenAIの最新モデルGPT-5.6が、Microsoft 365 CopilotのWord、Excel、PowerPoint、Copilot Chat、Coworkに優先モデルとして組み込まれます。トークン効率を重視した設計により、日常の業務ツールの中で「少ない手間で質の高い成果物」を実現する方向です。自社モデル整備の報道が出る微妙な時期だけに、両社の関係の行方も含めて注目したいニュースです。

出典:https://openai.com/index/gpt-5-6-preferred-model-microsoft-365-copilot

出典:https://openai.com/index/gpt-5-6

出典:https://techcrunch.com/2026/07/09/openai-says-gpt-5-6-is-the-preferred-model-for-microsoft-copilot-amid-breakup-chatter/