Googleが、AIアシスタント「Gemini」を中核に据えた新型スマートスピーカー「Google Home スピーカー」を発表しました。発売は6月25日で、価格は16,800円。カラーはHazelとPorcelainの2色です。これまでのGoogle Nestシリーズが使っていた「Google アシスタント」に代わり、自然な言葉のやり取りで家じゅうの操作をこなす「Gemini for Home」を前提に設計し直した一台で、決まった言い回しを覚えなくても、ふだんの話し方のまま指示が通るのが大きな違いです。
決まり文句を覚えなくていいスマートスピーカー
これまでのスマートスピーカーは、「OK Google、電気をつけて」のように、ある程度きまったコマンドを覚えて話しかける必要がありました。新しいGoogle Home スピーカーは、この前提そのものを変えています。中身の音声アシスタントがGemini for Homeに置き換わり、高度な言語理解と推論の力で、利用者の言い回しに合わせて意図をくみ取ってくれます。
つまり、操作のための「呪文」を暗記する必要がありません。思いついたことをそのまま口にすればよく、回りくどい言い方でもGeminiが内容を判断して動いてくれます。スマートホームに苦手意識があった人でも、会話の延長で家電を扱える点は、入り口のハードルを下げる工夫だといえます。
複数の指示も、言い間違いも、まとめて理解する
新モデルの賢さは、込み入った頼みごとへの強さに表れています。たとえば「枕元のランプ以外、すべての明かりを消して」のように、条件をまたいだ指示でもGeminiが判断して処理します。「キッチンの照明を暗くして、リラックスできる音楽をかけて。それとタイマーを20分にして」と、複数の用件を一息に伝えることもできます。
言い間違いへの対応も柔軟です。「コーヒーメーカーをオフにして……あ、オンの間違い」と言い直せば、先のオフの指示を取り消して、正しくオンにしてくれます。さらに踏み込んだ推論もこなし、「次の野球の試合の天気はどう」と尋ねれば、試合の日時や場所を割り出したうえで、その日その場所のピンポイントな予報を返してきます。
会話の文脈を短いあいだ覚えているため、やり取りのキャッチボールが成り立つのも特徴です。質問を掘り下げたり、用件を続けて頼んだりするときに、前提を毎回説明し直す必要はありません。加えて「続けて会話」機能が応答後しばらくマイクをオンに保つので、二言目から「OK Google」を省けます。この機能が日本語を含むすべての対応言語で使えるようになったのは、今回が初めてです。
会話に最適化したハードウェアと360度サウンド
自然な対話を成り立たせるため、ハードウェアも作り込まれています。プロセッサはNPUを内蔵したクアッドコアのA55(2.0GHz)で、AIの処理を本体側で素早くさばきます。集音には高感度マイクを3基備え、雑音のある部屋でも声を正確に拾います。プライバシー面では、2段階のマイクミュートスイッチを物理的に搭載し、ハードウェアレベルでマイクを切れるようにしています。
スピーカーとしての実力も底上げされました。360度に広がるバランスの良いサウンドで、部屋のどこに置いてもクリアに音が届くとしています。話している人を聞き分けるVoice Matchにも対応します。さらに、テレビ用デバイス「Google TV Streamer」と連携すると、最大2台のスピーカーをペアにして、空間サラウンド対応のホームシアターを組むこともできます。
接続まわりはWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)、Bluetooth 5.4、Thread 1.3のボーダールーターに対応します。本体は直径107mm、高さ86.6mm、重量は396g。ケーブルは1.5mの直出しタイプです。環境への配慮として、全体の37パーセント以上にリサイクル素材を使っています。
サブスクでさらに広がる「家を見守るAI」
無料でも自然な会話操作は使えますが、有料の「Google Home Premium」(月額1,000円から)に入ると、Geminiの機能がさらに広がります。たとえば「Gemini Live」では、「OK Google、話そう」と声をかけるだけで、相談ごとのブレインストーミングをしたり、途中で話題を変えたり、口を挟んだりと、より自由な対話が楽しめます。
「Google Nest Cam」を組み合わせている家庭では、カメラがとらえた動きや今の様子をスピーカーが教えてくれます。「裏口のゲートは開いてる」と聞けば閉め忘れを確認でき、「今日ペットはソファに乗った」と尋ねれば1日の動きをふり返れます。留守のあいだに家のまわりで起きたことをGeminiにまとめてもらう「一日の要約」も利用できます。スピーカーが、声で操作する道具から、家のようすを見守って教えてくれる相棒へと役割を広げた格好です。
まとめ
新しいGoogle Home スピーカーは、決まったコマンドを覚えるスマートスピーカーから、ふだんの言葉で話しかけられるAIスピーカーへと一歩を進めた製品です。複数の指示や言い間違い、文脈をまたいだ推論にまで対応し、「続けて会話」は日本語でも使えるようになりました。16,800円という手の届きやすい価格に360度サウンドやホームシアター連携も備え、サブスクを足せば見守りや自由な対話まで広がります。Geminiを家の中でどう使うかを占う、わかりやすい入り口になりそうです。