Google は 2026 年 2 月 18 日、インド・ニューデリーで開催中の「AI Impact Summit 2026」に合わせて、同時通訳モデルや Gemini アプリの学習支援機能、SynthID 検証機能の利用実績など、AI プロダクト群の最新アップデートを公開しました[1]。あわせて、米国とインド、南半球の複数拠点を結ぶ光ファイバー網「America-India Connect」、Google.org による合計 6,000 万ドル(約 94 億円)規模の助成プログラム、Google DeepMind と現地研究機関の連携も発表されており、製品と基盤インフラの両面から AI 利活用の裾野を広げる方針を打ち出した格好です[1]。

70 言語対応の音声-音声同時通訳モデル、Search Live と Lens も多言語化

製品面の目玉は、リアルタイム同時通訳に対応する新しい音声-音声(speech-to-speech)翻訳モデルです。70 言語超に対応し、その中には Bengali・Hindi・Tamil・Telugu を含む 10 のインド系言語(Indic languages)が含まれます[1]。同モデルは AI を使った発音・聞き取り練習にも転用され、利用者ひとりひとりのレベルに合わせた語学学習機能としても提供される計画です[1]。

リアルタイム音声・カメラ ツール「Search Live」も近く言語対応を拡張します。Hindi、Indonesian、Japanese、Korean、Brazilian Portuguese などが新たに加わり、ユーザーが見ているものを母国語で質問できる範囲が広がります[1]。Lens では、画像がぼやけている場合に「ぼやけ」を検出して追加質問を投げ、結果の精度を高める仕組みも導入される予定です[1]。

SynthID は累計 2,000 万回超、Gemini はインド学生向け JEE 対策も追加

セキュリティ・信頼性まわりでは利用実績の数字が公表されました。2025 年 11 月に投入された SynthID 検証機能(Gemini App で AI 生成コンテンツを判別する機能)は、累計 2,000 万回超利用されており、Google AI が生成した画像・動画・音声を多言語で識別するために使われてきたといいます[1]。Circle to Search と Lens でも、詐欺メッセージを検知して何百万人ものユーザーを保護する機能の実装が新たに案内されました[1]。

学習領域では、インドの学生向けに Gemini アプリで自学自習機能と JEE Main 模擬テストを追加し、近く AI Mode in Search にも展開する計画が示されています。Google によると、Gemini と AI Mode はいずれもインドが世界で「上位 3 か国」に入る規模に成長しているとのことです[1]。

6,000 万ドル規模の助成と Karmayogi 連携で AI 人材の底上げ

製品アップデートと並行して、土台側の発表も多岐にわたります。Google.org は、AI を活用した公共サービスの変革を支援する Global AI for Government Innovation Impact Challenge(3,000 万ドル、約 47 億円)※1 ドル 157 円換算 と、AI を用いた科学研究を支援する AI for Science Impact Challenge(同じく 3,000 万ドル、約 47 億円) を発表しました[1]。Google DeepMind は National Partnerships for AI 構想の一環として、インド政府機関や現地研究機関にフロンティア AI for Science モデルへのアクセスを提供し、GenAI アシスタントを備えたイノベーション ハブを運営します[1]。

スキル支援では、政府機関・教育機関・雇用主と連携した AI Professional Certificate プログラムを世界規模で展開し、インドでは Wadhwani AI を通じて学生やキャリア初期の社会人にコースを届けます[1]。Google Cloud は Karmayogi Bharat と新たに提携し、インド全土 800 以上の地区にまたがる 2,000 万人を超える公務員が利用する学習プラットフォーム iGOT Karmayogi を運用基盤として支えます。レガシー研修コンテンツのデジタル化と検索可能化を進め、コンテンツは段階的に 18 以上のインド系言語へ展開される予定です[1]。

Google が提示した新しい調査では、世界の公務員のうち 74% が既に業務で AI を利用している一方、政府が AI を効果的に活用できていると感じる人はわずか 18% にとどまるという結果も示されました[1]。今回の助成プログラムや Karmayogi 連携は、この「使ってはいるが効果を実感できていない」ギャップを埋めにいく位置付けです。インフラ側では、先に発表された 150 億ドル(約 2 兆 3,550 億円)※1 ドル 157 円換算 のインド国内 AI 基盤投資と、新規の海底/光ファイバー ルート「America-India Connect」が組み合わさり、米国・インド・南半球を結ぶ通信の冗長性が引き上げられます[1]。世界全体で 1 億人超に提供してきたデジタル スキル研修の延長線上にある、地に足の付いたパッケージ発表です[1]。

まとめ

AI Impact Summit 2026 で示された Google の発表は、70 言語対応の同時通訳モデルや Search Live・Lens の多言語化、SynthID の累計 2,000 万回超といった製品アップデートと、合計 6,000 万ドルの助成、海底ケーブル、政府機関との直接連携といった基盤側の取り組みを同時並行で進める構図でした。インドを起点にしつつ、グローバルへ展開する足場を厚くする方向にシフトしている点が特徴的です。

出典:https://blog.google/innovation-and-ai/technology/ai/ai-impact-summit-2026-india/