GMKtecが、AMDの高性能APU「Ryzen AI Max+ 395」を中核に据えた小型AIワークステーション「EVO-X3」を投入します。6月22日に早期アクセスの事前登録を開始し、グローバル発売は6月29日午前0時(米太平洋時間)を予定しています。手のひらに乗る筐体ながら、最大128GBのメモリと外付けGPUをつなげるOCuLink端子を備え、ローカルでAIを動かす土台としての性格を前面に押し出した1台です。販売はGMKtecの公式チャネルを通じて行われます。
手元でAIを動かす小型ワークステーション
EVO-X3は、ミニPCという小さな箱の中に、生成AIや機械学習を手元で動かせるだけの処理能力を詰め込んだモデルです。クラウドのサーバーに頼らず、ローカルで大規模言語モデルなどを動かしたい人に向けた構成になっています。
中核となるのは、AMDの「Ryzen AI Max+ 395」です。開発コード名「Strix Halo(ストリックス・ハロ)」として知られるAPU(CPUとGPUを1つにまとめたチップ)で、Zen 5世代のCPUコアを16基・32スレッド搭載し、最大5.1GHzで動作します。グラフィックスには40基のコアを持つ「Radeon 8060S」を内蔵し、CPU・GPU・NPU(AI処理専用回路)を合わせたシステム全体で最大126 TOPSのAI演算性能をうたいます。TOPSは1秒あたりに処理できる演算回数(兆回)を表す指標で、数値が大きいほど画像生成やローカルでのAI推論といった重い処理をこなしやすくなります。
なお、今回披露された再設計版の筐体は、AMDのLisa Su(リサ・スー)CEOのサインが添えられた形で公開されており、AMDの主力APUを軸にした製品であることを印象づけました。
OCuLinkで外付けGPUに対応、拡張性を重視
EVO-X3の特徴の1つが、ミニPCでは採用例の少ない「OCuLink」端子を備えた点です。OCuLinkはPCIe Gen4 x4の帯域を外部に引き出す接続規格で、これを使うと外付けのグラフィックスボードを接続して描画やAI処理の能力を底上げできます。内蔵GPUだけでは物足りない用途でも、後から外部GPUを足して性能を伸ばせる余地を残した設計です。
接続端子もひと通りそろいます。高速なUSB4やHDMI 2.1、無線はWi-Fi 7に対応し、OSはWindows 11 ProのほかLinux(Ubuntu)も使えるとされています。小さな本体でAPUを高いクロックで回すため、電力は最大140Wのピークに達するとされ、冷却には3基のファンを使う構成を採用して発熱に対処します。
最大128GBメモリと2基のSSDスロット
メモリは最大128GBのLPDDR5Xに対応します。大規模言語モデルはメモリ容量が処理できるモデルの大きさを左右するため、ローカルAIを意識した構成では大容量メモリが効いてきます。
ストレージはM.2 2280規格のPCIe 4.0 x4対応スロットを2基備え、GMKtecの資料では最大16TBまでの搭載に対応するとしています。大きなAIモデルを複数保存しておくとストレージを圧迫しやすいため、2基のスロットで拡張に余裕を持たせた形です。
価格と発売、上位版の予定
GMKtecはグローバル発売を6月29日としていますが、現時点で最終的な価格は正式に確定していません。海外メディアの報道では、先行割引としてメモリ128GB・ストレージ2TBの構成が3,600ドル(約58万円)、128GB・4TBの構成が3,849ドル(約62万円)という価格が伝えられています。いずれも発売前の割引価格とされているため、正式発表で変わる可能性がある点は押さえておきたいところです。※1ドル161円換算(2026年6月19日時点)
さらにGMKtecは、より上位となる「Ryzen AI Max+ PRO 495」を積み、メモリを192GBまで、AI処理に割り当てられるVRAMを最大160GBまで広げた派生モデルを後日投入する予定だとしています。手元でより大きなAIモデルを動かしたい層に向けた選択肢として、こちらの登場も気になるところです。
まとめ
EVO-X3は、Ryzen AI Max+ 395と最大128GBメモリ、そして外付けGPUを足せるOCuLinkを組み合わせ、手元でAIを動かす土台に振り切った小型ワークステーションです。6月22日に早期アクセスの登録が始まり、6月29日にグローバル発売を迎えます。価格はまだ正式には確定していませんが、報道ベースでは3,600ドル(約58万円)からと、本格的なローカルAI機ならではの強気の設定がうかがえます。192GBメモリの上位版も控えており、個人で大きなAIモデルを動かしたいというニーズがどこまで広がるのかを占う1台になりそうです。