Google は 2026 年 5 月 19 日、Google I/O 2026 に合わせて Gemini アプリの大規模アップデートを発表しました[1]。柱に据えられたのは、24 時間 365 日ユーザーの代わりにタスクをこなすパーソナル エージェント「Gemini Spark」で、Daily Brief、Gemini Omni、Gemini 3.5 Flash、新デザイン言語 Neural Expressive、macOS アプリ強化と合わせて、Gemini を「質問に答える助手」から「代わりに動くパートナー」へ作り変える布陣がそろっています[1][2]。

Gemini Spark、24 時間動き続けるパーソナル エージェント

中心となるのは Gemini Spark です[1]。Spark は Gemini 3.5 をベースに、Google が開発した エージェント実行基盤「Antigravity」のハーネスで動き、Google Cloud 上の専用仮想マシンで稼働します[2][3]。クラウド側で動き続けるため、ノート PC を閉じてもスマートフォンをロックしても、ユーザーに代わってタスクを進められる構造です[1][2]。

Spark に任せられる作業として、Google は 3 つの具体例を挙げています[1]。1 つ目は定期タスクの自動化で、毎月のクレジットカード明細を読み解いて、新規や見落としていたサブスク課金を炙り出すといった用途です。2 つ目は「教え込み」で、子どもの学校から届くメールを継続的に確認し、重要な締め切りを抽出して家族にダイジェスト配信させる、といった指示を覚えさせられます。3 つ目はワークフロー全体の組み立てで、メールやチャットに散らばった会議メモを統合し、Google ドキュメントにまとめた上で、プロジェクトを開始するメール文面まで下書きさせるところまで一気通貫で任せられます[1]。

Spark はユーザーの指示のもとで動くことを前提に設計されており、課金を伴う購入やメール送信といった「高ステークスな行動」の前には必ず確認を挟みます[1]。Google は今週中に Spark を信頼済みテスター向けに公開し、来週には米国の Google AI Ultra 加入者向け Beta として展開する予定です[1][2]。

Daily Brief と Gemini Omni、3.5 Flash で土台を作り変える

Spark と並んで投入されたのが Daily Brief です[1]。Gmail と Google カレンダーに接続し、緊急性の高い更新やイベントを朝の数分で読めるダイジェストに整え、次に取るべき行動まで提案します[1]。Google Labs の実験「CC」を母体にしており、サムアップ / サムダウンの簡単な操作でユーザーの好みに合わせて精度を高めていく設計です[1]。Daily Brief は同日から米国の Google AI Plus、Google AI Pro、Google AI Ultra 加入者向けに展開を開始しました[1]。

動画クリエイティブを担うのが新モデル Gemini Omni です[1]。テキスト・画像・動画のプロンプトを組み合わせ、シネマティックなズームや背景差し替えを言葉だけで指示できます[1]。スマートフォンの動画フォルダの素材を取り込み、テンプレートをワンタップで適用すれば、専用機材なしで仕上げまで持っていける流れです[1]。本人そっくりに動く AI アバターを作って動画に登場させる機能も用意されました[1]。Gemini Omni は同日から Google AI Plus、Pro、Ultra 加入者向けに世界展開を開始しています[1]。

土台のモデルも刷新されました。Gemini 3.5 Flash は「次世代モデルの第 1 弾」と位置づけられ、最先端の知能と高速応答を両立させたとされており、Spark のような長時間タスクをこなすエージェント用途の中核を担います[1][3]。

Neural Expressive と macOS、9 億人を抱える Gemini の次の手

UI 側も刷新されました。新しいデザイン言語「Neural Expressive」では、流麗なアニメーション、鮮やかな配色、刷新されたタイポグラフィ、触覚フィードバックが導入されています[1]。会話モード Gemini Live が本体に統合され、テキスト入力から音声会話へシームレスに切り替えられるほか、考えながら話しても途中で打ち切られないようマイク処理も作り直されています[1]。回答も文字列の壁ではなく、画像・インタラクティブな年表・ナレーション付き動画・動的なグラフィックを組み合わせた表現に変わります[1]。Neural Expressive は同日から Web、Android、iOS 向けに世界規模で展開が始まっています[1]。

デスクトップ強化も進みます。Google は macOS 向け Gemini アプリを当日公開し、今夏中に Spark を取り込んでローカル ファイルやワークフロー自動化に対応させる計画を明らかにしました[1]。フィラーを取り除いて意図に沿った文章へ整える音声機能も、夏に追加されます[1]。

サードパーティ連携も拡張されます。Spark から呼び出せる MCP コネクタとして、Canva、OpenTable、Instacart の追加が同日発表されました[1]。今後はテキストやメール経由で Spark に指示を飛ばす、カスタム サブエージェントを作る、ローカル ブラウザを操作させる、といった機能を順次追加する計画です[1]。

母数も着実に伸びています。Google によると、Gemini の月間アクティブ ユーザー数は 230 か国・70 言語以上の 9 億人に達し、前年の 4 億人から 2 倍超に拡大しました[1]。

まとめ

Gemini Spark は Gemini を「単に答えるアシスタント」から「クラウド側で動き続け、ユーザーの指示で実作業まで踏み込むエージェント」に位置づけ直す試みです。Daily Brief、Gemini Omni、Gemini 3.5 Flash、Neural Expressive、macOS アプリと組み合わせると、Gemini アプリは Workspace と個人のデジタル空間をまたいで動く前提のプロダクトに作り変わったと言えます。まずは米国の Google AI Ultra Beta から、どこまで「代わりに動いてくれる」のか実利用での評価が問われそうです。

出典 [1]: https://blog.google/innovation-and-ai/products/gemini-app/next-evolution-gemini-app/

出典 [2]: https://techcrunch.com/2026/05/19/google-introduces-gemini-spark-a-24-7-agentic-assistant-with-gmail-integration/

出典 [3]: https://9to5google.com/2026/05/19/gemini-app-google-io-2026/