Google が5月のGoogle I/Oで発表した新モデル群「Gemini 3.5」。シリーズは高速版の「3.5 Flash」から提供が始まりましたが、最上位に位置づけられる「3.5 Pro」は、当初「翌月」とされた投入時期を過ぎた今も一般提供に至っていません。Googleの公式ページには「近日公開」の表示が残ったままです。現時点で分かっていることを、公式情報を軸に整理します。
Gemini 3.5シリーズの現在地
Googleは2026年5月19日のGoogle I/Oで、最新モデル群となるGemini 3.5を発表しました。シリーズはまず高速モデルの3.5 Flashから提供が始まり、GeminiアプリやGoogle検索のAI Mode、開発者向けのGoogle AI Studioやエージェント開発基盤のGoogle Antigravity、法人向けのGemini Enterpriseなど、幅広い経路で使えるようになっています。
一方で最上位の3.5 Proについて、Googleは発表時点で「すでに社内で利用しており、翌月の展開を予定している」と説明していました。ところが発表から2か月近くが経った2026年7月中旬の時点でも、Googleの公式モデルページでは3.5 Proに「近日公開(coming soon)」の表示が残っています。Pro帯で一般に利用できるのは、いまも前世代にあたる「Gemini 3.1 Pro(プレビュー)」です。3.1 Proは入力が最大100万トークン、出力が最大6万4000トークンで、テキストのほか画像・音声・動画・PDFの入力に対応します。
先に出た「3.5 Flash」がPro版の土台に
3.5 Proの姿はまだ見えていませんが、先行する3.5 Flashを見ると、シリーズが何を重視しているのかがうかがえます。Googleは3.5 Flashを、長い工程を伴う自律的な作業(long-horizon agentic、複数の手順を自分で計画して進める処理)とコーディングに強いモデルと位置づけています。
Googleの公表値では、3.5 Flashは端末上での実務に近いベンチマークで前世代の3.1 Proを上回るとされ、エージェント向けの「Terminal-Bench 2.1」で76.2%、ツール活用を測る「MCP Atlas」で83.6%を記録したと説明しています。出力トークンの毎秒処理速度は、ほかの最先端モデルのおよそ4倍に達するとしています。実際に、Shopifyやオーストラリアの金融大手Macquarie Bank、Salesforce、Ramp、Xero、Databricksといった企業が、業務の自動化や大量データの分析に3.5 Flashを組み込み始めています。個人の予定や手続きを代行する新しいAIエージェント「Gemini Spark」も、この3.5 Flashを使って動きます。
もっとも、これらの数値や事例はいずれもGoogleが自社で公表したものです。実際の使い勝手は扱うタスクや条件で変わるため、第三者による検証も踏まえて受け止めるのがよさそうです。3.5 Proが登場すれば、この土台の上でさらに難しい推論や長い工程の作業を担う役割が期待されます。
投入時期をめぐる報道と、公式の慎重姿勢
3.5 Proの一般提供時期については、一部の海外メディアの報道で7月中旬を目標とする観測が伝えられています。ただし、Googleはこの日付を公式に認めておらず、3.5 Proのモデルカードや価格、公式ベンチマークもまだ公開していません。現時点で確実に言えるのは、当初「翌月」と案内されていた投入が数か月ずれ込んでいる、という事実だけです。
背景には、最先端モデルの競争が一段と激しくなっている事情もあります。OpenAIやAnthropicが相次いで新しいモデルを送り出すなかで、GoogleはPro帯の空白を現行の3.1 Proで埋めながら、3.5 Proの仕上げを進めている状況とみられます。開発者や利用者にとっては、確定した日付が出るまでは3.1 Proを前提に計画を立て、正式発表を待つのが堅実な向き合い方と言えるでしょう。
まとめ
Gemini 3.5シリーズは3.5 Flashが先行して提供され、最上位の3.5 Proは当初の「翌月」という案内を過ぎても「近日公開」のまま据え置かれています。7月中旬の投入を伝える報道はあるものの、Googleからの公式な日付やモデルカードはまだ示されていません。先に出た3.5 Flashが示すエージェントとコーディングの強化路線を、3.5 Proがどこまで引き上げるのか。正式発表を待ちたいところです。
