Nothing傘下のスマートフォンブランドCMFが、2026年内に予定していた廉価モデル「CMF Phone 3 Pro」の発売を取りやめると明らかにしました。理由はDRAMをはじめとするメモリ部品の世界的な価格高騰です。共同創業者は、低価格を保ったまま意味のある進化を実現するのが難しくなったと説明しています。手ごろな価格を強みにしてきた廉価スマホが、部材コストの急騰に直面している実情が浮き彫りになりました。
「CMF Phone 3 Pro」の2026年内発売を中止
CMFは、今年中に「CMF Phone 3 Pro」を発売しないことを正式に認めました。この端末は、約14か月前に登場した「CMF Phone 2 Pro」の後継機にあたり、2026年の第3四半期ごろに投入されるとみられていたモデルです。
発表したのはNothingの共同創業者であるAkis Evangelidis氏です。同氏によると、CMFは後継機の開発を実際に検討したものの、最終的に投入を見送る判断に至ったといいます。背景にあるのは、ここにきて急速に進んだ部材コストの上昇です。
原因はメモリ価格の世界的な高騰
開発を止めた最大の要因は、DRAMやストレージといったメモリ部品の価格高騰です。CMFは低価格を武器にしてきたブランドですが、その路線を維持したまま、買い替える価値を感じてもらえる進化を盛り込むことが難しくなったと説明しています。
価格への影響は具体的な数字にも表れています。CMF Phone 2 Proは8GB/128GBモデルが1万8999ルピー(約3万2000円)で登場し、米国では8GB/256GBモデルが279ドル(約4万5000円)で販売されていました。ところが同等の構成を今の部材価格で作り直すと、インドでの想定価格は3万〜3万5000ルピー(約5万〜6万円)まで跳ね上がる見込みだといいます。
メモリの存在感も増しています。かつてはスマートフォンの製造原価(BoM、部品表)に占めるメモリの比率が10〜15%程度だったのに対し、現在は50%を超えるとされます。Evangelidis氏は、こうした状況では「本当の意味で前進したと感じられる端末を作れない」と語っています。※1米ドル=161円、1インドルピー=1.7円で換算(2026年6月時点)
手ごろさが信条のCMFを直撃
CMFは、Nothingが立ち上げた低価格志向のサブブランドです。割り切った仕様と思い切った値付けで存在感を高めてきただけに、価格を据え置けないという事態はブランドの根幹に関わります。値上げして出すか、出すこと自体を見送るかという選択を迫られ、今回は後者を選んだかたちです。
この問題はCMFだけのものではありません。メモリの価格上昇は業界全体に広がっており、利幅の薄い廉価スマートフォンほど打撃を受けやすい構図です。安さで勝負する端末が、世界的な部材コストの波に揉まれていることを示す一例と言えます。
今後の展開
スマートフォンの新モデルこそ見送るものの、CMFは2026年内に複数の新製品を投入する計画は維持しています。これまでにないカテゴリーの製品も含むとしており、ブランドとしての歩みを止めるわけではありません。
一方で、次のCMFスマートフォンについては具体的な時期を示していません。手ごろさを損なわずに確かな進化を届けられる環境が整った段階で、あらためて情報を共有するとしています。値ごろ感を守るための、戦略的な「待ち」と受け取れます。
まとめ
Nothing傘下のCMFは、メモリ価格の高騰を理由に「CMF Phone 3 Pro」の2026年内発売を中止しました。メモリが製造原価の半分超を占めるまでに高騰し、低価格を保ったまま意味ある進化を出すのが難しくなったことが背景です。CMFは新カテゴリーを含む製品展開は続ける一方、次のスマートフォンの時期は明言していません。安さを売りにする端末が世界的な部材高に直面している現状を、象徴する一件となりました。
