Anthropicの生成AI「Claude」で作った共有リンクの中身が、7月25日から27日にかけてGoogle検索の結果に並んでいたことが明らかになりました。検索窓に特定の書き方をするだけで、他人の会話やArtifactsが次々と開ける状態だったといいます。患者の診療記録や小学生の連絡先を含むものまで見つかっており、リンク共有という機能の受け止め方に大きなずれがあったことが浮き彫りになりました。

発端は週末のRedditへの書き込み

最初に気づいたのは、土曜日にRedditへ投稿した1人のユーザーでした。Googleの検索窓に site:claude.ai/share と打ち込むと、Claudeの共有ページがずらりと返ってくる、という内容です。月曜の朝には米国のメディアがこれを取り上げ、そこから一気に注目が集まりました。

Claudeには、会話やプロジェクトを共有用のURLに変換する機能があります。作成時の画面には、リンクを知っている人は誰でも閲覧できる、という趣旨の注意書きが出ます。この文面をそのまま読めば、同僚や友人など限られた相手に手渡す使い方を想定した機能に見えます。同じようなリンク共有はGoogle ドキュメントにもありますが、あちらは共有しただけで検索結果に載ることはありません。今回は、その感覚のまま作った共有リンクが、検索エンジン経由で誰にでも辿れる状態になっていました。

対象は文章のやり取りだけではありません。Claude上で組み立てた小さなアプリや資料であるArtifactsも同様に開ける状態で、業務メモやコードがそのまま読めたケースが報告されています。

中身は雑談の域を超えていた

問題を深刻にしたのは、拾えてしまった内容の性質です。実在する患者の詳細な診療報告書、患者名が入った臨床試験の結果、小学生の氏名と電話番号が書かれた書類、社内限りと明記された企業文書、従業員の個人情報を含む人事評価。いずれも、たまたま検索した第三者が読んでよい種類のものではありません。

さらに、Anthropicによる共有という表示が付いたチャットの中に、性的な描写を含む出力が残っていた例も報じられています。Anthropicの利用規約はClaudeに性的に露骨な内容を生成させることを明確に禁じており、この会話がどのような経緯で作られたのかは、記事執筆時点でははっきりしていません。

一方で、今回どれだけの件数が検索に載っていたのかは、独立した形では確認されていません。参考になるのは昨年の同種の事案で、このときは600件弱の会話がGoogleにインデックスされていたと見積もられました。同じ年には、公開設定にされていたChatGPTの会話がおよそ10万件まとめて収集できたという報告も出ています。件数の規模はともかく、共有リンクが機械的に集められる対象になり得るという点は、以前から示されていたことになります。

説明はかみ合っていない

Anthropicの回答は、仕様どおりに動いた、という立場です。同社の広報担当者は、共有リンクが検索結果に出るのはフォーラムやSNSなど検索エンジンが見に行ける場所にそのURLが貼られた場合であり、個別に送ったリンクは検索対象にならないと説明しました。あわせて、チャットの一覧やサイトマップを検索エンジンに渡してはいないこと、リンクは推測できるものではないこと、そして共有を選んだ時点でその内容は公開ウェブと同じ扱いになり、第三者のサービスに保存される可能性があることを挙げています。

Googleの見解も似た方向です。同社の広報担当者は、どのページを公開するかを決めているのは検索エンジンではなくサイト側であり、今回のページは複数の検索エンジンにわたってインデックスされていたと述べました。クロールやインデックスを拒否する手段はサイト運営者に用意されており、その指示は尊重しているという主張です。

技術的にはどちらの説明も筋が通っています。ただ、利用者が読む注意書きは、リンクを知っている人は誰でも見られる、という一文だけです。ここから、検索エンジンにも拾われ得るという結論まで辿り着ける人がどれだけいるかは別の話でしょう。今回の騒動は、脆弱性というより、機能の言葉づかいと実際の広がり方の落差が生んだものだと言えます。

検索結果からは消えたが、点検はしておきたい

月曜の午後の時点で、Redditに書かれていた手順をなぞっても該当する結果は返ってこなくなっており、露出そのものは収まったと見られています。ただ、共有リンク自体が消えたわけではありません。URLを持っている相手は引き続きその会話を開けます。

自分がどのチャットを公開状態にしているかは、Claudeの設定から確認できます。設定画面のプライバシー項目にある共有チャットの管理を開くと、現在リンクを発行している会話が一覧で並び、不要なものはその場で取り消せます。仕事の資料や個人情報を含むやり取りを共有した記憶があるなら、一度は目を通しておく価値があります。

生成AIとのやり取りは、検索履歴やメモ帳より踏み込んだ情報を含みがちです。相手が人ではないぶん、書き込む内容のハードルも下がります。共有ボタンを押す前に、それが社内の数人に見せるための操作なのか、ウェブに1ページ公開する操作なのかを意識しておきたいところです。

まとめ

Claudeの共有リンクで作られたページが、7月25日から27日にかけてGoogle検索から辿れる状態になり、診療記録や子どもの連絡先を含む会話まで閲覧できていました。Anthropicは仕様どおりの動作だと説明し、Googleも公開範囲を決めるのはサイト側だとしています。露出は解消されたと見られますが、共有リンクは今も有効です。設定のプライバシー項目から共有チャットの一覧を確認し、不要なリンクを整理しておくことをおすすめします。

出典: [1] TechCrunch「PSA: Your Claude shared chats and Artifacts may have ended up on Google」