OpenAIが8月20日、ChatGPTのMac向けデスクトップアプリに「Apple Messages」プラグインを追加しました。Macの「メッセージ」アプリに溜まったiMessage・SMS・RCSの会話を読み取って検索し、返信の下書きから送信までを任せられます。動作条件はApple Silicon搭載のMacで、Intel Macは対象外です。送信の直前には本文と宛先の確認が入る作りになっています。

「メッセージ」アプリを丸ごと文脈として渡せます

これまでChatGPTにやりとりの内容を相談しようとすると、該当部分をコピーして貼り付けるしかありませんでした。今回のプラグインは、その手間をなくす方向の機能です。Macのローカルに保存されている会話履歴をChatGPT側から直接読み取り、キーワードで検索できます。

できることは大きく3つに分かれます。過去の会話を探すこと、溜まったやりとりに追いつくこと、そして返信を用意して送ることです。「先月あの人と話していた店の名前」を掘り起こす、といった使い方が想定しやすいところでしょう。iMessageだけでなくSMSとRCSも扱えるため、Androidの相手とのやりとりも同じ枠に入ります。

送信はChatGPTが独自の経路で行うのではなく、Macの「メッセージ」アプリを経由します。送信履歴や既読の扱いは普段どおりで、ChatGPT側に別のスレッドが生えるわけではありません。

動くのはApple Siliconのデスクトップアプリだけ

対応範囲はかなりはっきり線が引かれています。プラグインが同梱されるのはデスクトップアプリのApple Silicon(arm64)ビルドのみで、Intel Macでは利用できません。Webブラウザ版やスマートフォンアプリ、ターミナルで動くCodex CLI、エディタ向けの拡張機能でも動作しません。

呼び出せる場所も限定されています。通常のチャットではなく、OpenAIが今年強化してきたCodexとChatGPT Workという、作業を代行する側の画面から使う設計です。料金プランによる制限は設けられておらず、条件を満たすMacであればプランを問わず試せます。

Macのローカルデータに触れる以上、初回はmacOS側の権限許可が必要になります。ChatGPTが権限を求めてくるタイミングで、どこまで渡すかを判断することになります。

誤送信を防ぐための承認ステップ

メッセージの自動送信は、AIに任せる作業のなかでも取り返しがつきにくい部類です。宛先を間違えれば相手に届いてしまいますし、内容の温度感がずれていても後から消せません。

そのためOpenAIは、既定の動作として送信前の確認を挟んでいます。ChatGPTが作った本文と、送り先として選んだ相手をユーザーが見て、承認してから初めて送信されます。文面の生成までは自動で進み、外に出る瞬間だけ人間が止める、という切り分けです。

逆方向、つまりスマートフォンから「メッセージ」宛にテキストを送ってChatGPTを操作する、といった使い方は今回の対象に含まれていません。あくまでMac上のアプリが主体で、メッセージアプリをChatGPTの遠隔操作窓口にする機能ではない点は押さえておきたいところです。

個人の会話履歴をAIに預けるということ

便利さと引き換えに渡すものは小さくありません。「メッセージ」アプリの履歴は、家族や友人との日常的なやりとりから、二要素認証のコード、宅配便の通知、金融機関からの連絡まで、性質の異なる情報が同居している場所です。検索できるということは、そのすべてが検索対象になり得るということでもあります。

実務で使うなら、どの範囲までChatGPTに読ませるのか、権限を後から取り消せるのか、承認ステップを外す設定が用意されているのかといった点を、有効化する前に確認しておくのが無難です。とくに業務用のMacで有効にする場合は、社内の運用ルールと衝突しないかを先に見ておきたいところです。

同じ日に入ったそのほかの変更

8月20日の更新には、Apple Messages以外の項目も含まれています。

ChatGPT Sitesでは、サイトの所有者が公開済みサイトのURLを再デプロイなしで変更できるようになりました。変更前のアドレスは新しいURLへ転送され、パスやクエリパラメータも引き継がれます。独自ドメインを設定している場合は別枠の扱いで、そちらは変わりません。

macOSアプリのComputer Historyは、対応地域が欧州経済領域とスイス、英国へ広がりました。対象はPro・Business・Enterpriseの利用者で、既定では無効、有効化にはメモリ機能が必要です。これらの地域はもともと対象外とされていたため、地域制限が1つ外れた形になります。

Codexのチャットは、読み取り専用のスナップショットとして共有できるようになりました。個人アカウントで共有した場合はリンクを知っていれば誰でも開ける静的な記録で(ワークスペースの共有リンクは同じワークスペースのメンバーに限られます)、ツールの呼び出しやシェルの入出力は含まれません。既知のパターンの秘匿情報は伏せ字にされますが、パスや差分、画像などが残る可能性があるため、共有前に自分で中身を見るよう案内されています。

そしてピン留めしたチャットが、デスクトップアプリとiOSの間で同期されるようになりました。同じアカウントで使っている場合が条件で、Androidは今回の対象に含まれていません。

まとめ

ChatGPTのMac版に加わったApple Messagesプラグインは、iMessage・SMS・RCSの会話を読み取って検索し、返信の作成と送信まで担う機能です。対応するのはApple Silicon搭載Macのデスクトップアプリのみで、CodexとChatGPT Workから呼び出します。送信前には本文と宛先の承認が入り、誤送信への備えは用意されています。ただし読ませる対象が個人の連絡履歴そのものである以上、有効化する前に権限の範囲を確かめておくことが欠かせません。

参考: https://learn.chatgpt.com/docs/changelog