中国の規制当局が2026年7月15日、スマートフォン端末側で動く生成AIサービス7件の届出完了を公示しました。その中にAppleのAI機能「Apple Intelligence」が含まれています。中国向けの中身はアメリカ版とは異なり、言語モデルにAlibabaの「Qwen」、検索と視覚認識にBaiduを組み合わせる構成です。発表から2年近く足踏みが続いていた中国展開が、ようやく制度面の入口を通過しました。

2年近く止まっていた話がようやく動いた

Appleが自社のAI機能を初めて披露したのは2024年です。それから中国本土だけは提供対象から外れたままで、機能の空白が22か月ほど続いてきました。理由ははっきりしていて、中国では生成AIサービスを一般に提供する事業者に当局への届出が義務づけられているためです。海外のモデルをそのまま持ち込むことは事実上できず、現地企業との組み合わせが前提になります。

今回公示された届出の主体はAppleの中国法人で、適用範囲はiPhoneとされています。ただし、公示はあくまで制度上の手続きが済んだという意味であり、いつから実際に使えるようになるのかは示されていません。ここは注意して見ておきたいところです。

言語はAlibaba、検索はBaidu

中国版の構成でおもしろいのは、1社に寄せなかった点です。

言語まわりを担当するのがAlibabaのQwenです。iOS、iPadOS、macOS、visionOSの中国ユーザーに対して、文章と画像の理解や生成といった機能を提供します。利用者から見れば、別のアプリを立ち上げることなくApple側の画面のままQwenの能力を呼び出せる形になります。この件を受けて、Alibabaのアメリカ上場株は一時4%近く上昇しました。

もう一方のBaiduは、画像を手がかりにした検索機能や、Siriがウェブ上の情報を取りにいく部分を受け持ちます。アメリカ版でGoogleのGeminiやOpenAIが埋めていた役割を、中国では2社で分け合う格好です。特定の1社にApple側のAI基盤を握られない構図をつくった、と読むこともできます。

使えるのはiPhone 15 Pro以降、iOS 26.4から

中国版のApple Intelligenceを動かすには、いくつか条件があります。報じられている内容では、iOS 26.4以降のOS、iPhone 15 Pro以降の端末、そして中国リージョンのApple IDが必要とされています。

端末の条件がProシリーズ以降に絞られているのは、処理の多くを端末内で完結させる設計だからです。今回の届出が「端末側(端側)」の生成AIサービスという枠で行われている点とも符合します。データをクラウドへ送らずに手元で推論を回す、という建て付けが規制側にとっても受け入れやすかったのでしょう。

7社まとめての解禁という文脈

見落とされがちですが、今回はAppleだけの話ではありません。同じ公示にはHuaweiの小芸、OPPOのAndesGPT、vivoの藍心、Xiaomiの澎湃AI、SAMSUNGのGalaxy AI、nubiaの豆包モデルが並んでいます。主要メーカーの端末側AIが一斉に制度の土俵に乗った、と言い換えてもよさそうです。

これまで中国での届出は、クラウドで動く大規模モデルが中心でした。スマートフォンの中で動くAIをまとめて対象にした公示は今回が初めてとされ、端末に載るAIが「試験的な機能」から「制度に組み込まれた機能」へ移りつつある節目と見ることができます。Appleにとっては、世界最大級の市場で長く欠けていたピースがようやく埋まる見通しが立った、という段階です。

まとめ

Apple Intelligenceが中国で届出を通過し、AlibabaのQwenが言語処理、Baiduが検索と視覚認識を担う構成で提供される見通しになりました。動作にはiOS 26.4以降とiPhone 15 Pro以降、中国リージョンのApple IDが必要とされています。提供開始日はまだ示されておらず、実際の使い勝手が見えてくるのはこれからです。