AI開発を手がけるAnthropicは、イタリア・ミラノに新しいオフィスを開設すると発表しました。ロンドン、ダブリン、パリ、チューリッヒ、ミュンヘンに続く欧州6拠点目で、現地チームはイタリア企業や開発者コミュニティと連携し、対話型AI「Claude」を責任ある形で活用・拡大する取り組みを支援します[1]。
欧州6拠点目、南欧での体制を強化
ミラノチームを率いるのは、Anthropicで南欧責任者を務めるThomas Remy氏です。同社はすでに幅広いイタリア企業と協業しており、金融のGenerali GroupとUnipol Group、ライフサイエンスのAngelini PharmaとBracco Group、エネルギーのEnel Group、自動車のPirelliなどが名を連ねます[1]。
国際部門のマネージングディレクターを務めるChris Ciauri氏は「私たちは、安全なAIへの移行を通じてイタリアの企業、研究、文化を支えるためにここにいる」と述べました。大企業から創業者、大学、文化機関に至るまで、フロンティアAIがこの国にもたらすものに期待を示しています[1]。
大企業からスタートアップまで広がるClaude活用
Anthropicは、欧州有数のデータ・AI企業であるJAKALAと提携し、3,000席を超える規模でClaudeを導入しました。これにより、シニアチームの作業時間のおよそ70パーセントを、より高度な判断が求められる顧客向けの業務に振り向けられるようになったとしています[1]。
スタートアップやテクノロジー企業でも早くから採用が進んでいます。600万人以上が利用する金融スーパーアプリのSatispayは、エンジニアリングチーム全体にClaudeを導入し、18か月分の開発計画を7か月に圧縮、基幹となる決済システムの更新を当初計画の10倍の速さで進めたといいます[1]。イタリア最大級のテクノロジー企業の1社であるBending Spoonsでは、コード変更の大半がClaude Codeとの共同作業で行われるようになりました[1]。
デザインの現場にも、ミラノデザインウィークで実演
Anthropicは、イタリアを代表するデザイナーたちにもClaudeを届けています。ミラノデザインウィークの期間中には、Alcova Milanoと協力してクリエイティブ職向けの実践型ワークショップを開催しました。インダストリアルデザインや家具、空間デザインの現場で使われるツールとClaudeを連携させ、制作プロセスにどう役立つかを示したとしています[1]。
「より多くの声」を求めるAnthropicの姿勢
今回のオフィス開設は、ローマ教皇レオ14世による初の回勅であり、AIをテーマにした初の教皇文書とされる「Magnifica Humanitas」の公表直後に重なりました。Anthropicの共同創業者であるChris Olah氏はその発表の場に招かれ、AIが投げかける倫理的な問いについて語るとともに、宗教的伝統や市民社会、学術界、政府といった幅広い担い手が人類にとって良い結果を形づくるよう呼びかけました[1]。
同社は、AIが仕事やデザイン、知識、人間の主体性をどう変えていくのかという問いは、テクノロジー業界だけで答えられるものでも、答えるべきものでもないとしています。AIへの移行を正しく進めるには「より少ない声ではなく、より多くの声」が必要だという立場で、ミラノのチームはこの技術の使われ方を形づくるイタリアの企業や研究者、開発者を支えていくとしています[1]。
まとめ
Anthropicのミラノオフィス開設は、欧州での体制強化にとどまらず、金融やエネルギー、デザインといった多様な分野でClaudeの実用が広がっている現状を映し出すものです。AIをめぐる議論により幅広い担い手の参加を求める同社の姿勢も、改めて示された形と言えるでしょう。
