Anthropicは、米政府による輸出規制が解除されたことを受け、最新モデル「Claude Fable 5」を日本時間の7月1日から全世界のユーザーへ再提供すると発表しました[1]。同モデルは6月12日に発動した輸出規制の影響で全ユーザー向けに提供を停止していましたが、今回の解除で再び利用できるようになります。あわせて、安全対策の強化や米政府との連携についても詳細が示されました。
6月12日の提供停止から再開までの経緯
Anthropicは6月9日に「Claude Fable 5」と「Claude Mythos 5」を公開しました[1]。しかし6月12日、米政府がこの2モデルに輸出規制を適用し、米国内外を問わず外国籍のユーザーへのアクセス制限を求めました。規制は即時発効で、リアルタイムに国籍を確認する確実な手段がなかったため、Anthropicは両モデルへのアクセスを全ユーザー向けにいったん停止しました[1]。
その後、6月30日付で両モデルの輸出規制が解除されました[1][2]。Fable 5は7月1日から、Claude Platform、Claude.ai、Claude Code、Claude Cowork上で世界中のユーザーが利用できます。Pro・Max・Team・一部のEnterpriseプランでは、7月7日まで週間の利用上限の最大50パーセントぶんに含まれ、それ以降は利用クレジット経由での提供になります[1]。AWS、Google Cloud、Microsoft Foundry上での提供も、できるだけ早く再開する予定です。
なお、より強力な機能を持つ「Mythos 5」については、6月26日の米政府の承認を経て、一部の米国組織向けにアクセスが復旧しました[1]。
発端はセーフガードの「バイパス」報告
今回の輸出規制は、Fable 5の安全機構(セーフガード)を回避する手法が報告されたことがきっかけでした[1]。Amazonの研究者が、ソフトウェアの脆弱性を特定させるようFable 5へ指示する手法を発見し、うち1件では脆弱性を悪用する方法を示すコードを生成させたとされています。
ただしAnthropicの検証では、こうした脆弱性の特定は、Claude Opus 4.8やGPT-5.5、Kimi K2.7といった、より能力の低い他モデルでも同様に可能でした[1]。悪用手順の実演についても、テストしたすべてのモデルが同じ結果を再現できたといい、Fable 5に固有の危険な能力が露呈したわけではないと説明しています。
99パーセント超を遮断する新たな分類器
Anthropicは政府と協力し、報告された挙動を狙って遮断する改良版の安全分類器を訓練しました[1]。これにより、報告された手法は99パーセントを超えるケースで遮断されます。遮断された要求はユーザーへ通知され、代わりにClaude Opus 4.8へ回されます。米商務省傘下のCAISI(AI標準・イノベーションセンター)も新旧の安全対策を検証し、極めて強固だと評価しました。
一方で、新しい分類器は通常のコーディングやデバッグ作業でも、無害な要求を誤って弾く頻度が増えるという課題も抱えます。Anthropicは、正当な要求と本当の悪用を見分ける精度を今後も高めていくとしています。
業界共通の評価枠組みづくりへ
Anthropicは、AIモデルの「ジェイルブレイク」(安全機構を回避する手法)の深刻度を客観的に測る共通基準が業界にまだ存在しない点を課題として挙げ、Amazon、Microsoft、Googleなどと連携して評価フレームワークの策定に着手したと明らかにしました[1]。現在の案では、能力の上昇幅、その適用範囲の広さ、攻撃への転用しやすさ、入手のしやすさという4つの観点で採点します。あわせて、研究者が見つけたジェイルブレイクを報告できるHackerOneのプログラムも新設します。
まとめ
「Claude Fable 5」は、6月12日の輸出規制で全ユーザー向けに停止していましたが、6月30日の規制解除を受けて7月1日から全世界で再提供されます。Anthropicは安全分類器の強化や業界共通の評価枠組みづくり、米政府とのさらなる連携も打ち出しており、高性能モデルの提供と安全確保の両立を探る動きが続きそうです。
