Adobeは2026年6月18日(米国時間)、Adobe FireflyとAdobe Creative Cloud全体でクリエイティブエージェントを大幅に拡充すると発表しました[1]。PhotoshopやPremiereをはじめとする主要アプリに、望む成果物を言葉で伝えるだけで多段階の作業を代行するAIアシスタントを搭載します。さらにChatGPTやClaude、Microsoft 365 Copilotといった外部プラットフォームからもAdobeのツールを呼び出せるようになり、制作の入り口が大きく広がります。
「成果物を伝えるだけ」で動くクリエイティブエージェント
今回の拡充の中心にあるのが、Adobeが「クリエイティブエージェント」と呼ぶAIアシスタントです。クリエイターが完成させたい成果物を説明すると、アシスタントがバックグラウンドで複数のステップにまたがるワークフローを組み立てて実行します[1]。これまで手作業で一つずつこなしていた工程を、まとめて任せられるようになるのが大きな違いです。
Adobeはこの仕組みを、クリエイターが制作の主導権を握り続けられるよう設計したと説明しています。複雑で反復的な作業の調整や実行はエージェントが担い、何をどう仕上げるかという判断はクリエイター自身が下す形です[1]。同社のクリエイティビティ&プロダクティビティ事業部門代表を務めるデイビッド・ワドワーニ(David Wadhwani)氏は「すべてのクリエイターが、自分の使うあらゆるアプリやプラットフォームを横断して作業を支援してくれるエージェントを持つことになる」と述べ、クリエイターはビジョンを示し、自身のセンスや判断に集中できるようになると強調しました[1]。
Photoshop・Premiereなど主要5アプリにAIアシスタント
Adobeはまず、Adobe Premiere、Adobe Photoshop、Adobe Illustrator、Adobe InDesign、Adobe Frame.ioの5つのアプリでAIアシスタントをパブリックベータとして提供します[1]。Adobe After Effectsではプライベートベータとして利用できます[2]。各アプリのアシスタントは、その分野の専門家のように振る舞います。
具体的には、Photoshopでは背景の置換やプラットフォームに合わせた画像サイズの変更、レイヤーの整理といった処理を、希望を伝えるだけで合成画像全体に適用します。Premiereではアセットの分類やクリップの一括リネーム、マーカーの追加など、プロジェクトパネルやタイムラインでの設定作業を代行します。Illustratorではスプレッドシートから50種類のバージョン管理されたファイルを生成したり、印刷前にカラーモードの誤りや欠落フォントを検出するプリフライトチェックを実行したりできます[1]。InDesignはブランドガイドラインのPDFを読み込んでレイアウトへ反映し、Frame.ioは撮影アセットの整理やリビジョンごとのフィードバック抽出を支援します。いずれもアシスタントに任せる作業と自分で担当する作業を選びながら進められる点が共通しています。
クリエイティブAI Studioへ進化するFirefly
オールインワンのクリエイティブAIツールであるAdobe Fireflyも、エージェント機能を強化します。Firefly AIアシスタントには、SNSでブランドを育てるクリエイターや個人事業主に向けた新しいスキルが加わりました[1]。スタイルやブランド名、カラーパレットを説明するだけでロゴやブランドアイデンティティを生成する「ブランドキットの作成」、商品写真を投稿可能なシネマティックなショート動画に変換する機能、動画素材を自動で編集する「クイックカット」、ストーリーボードから動画を生成する機能などです。
あわせてAdobeは、生成と編集を一つの場所でつなぐ刷新版「Adobe FireflyクリエイティブAI Studio」をプレビューしました[1]。作成済みのキャラクターやオブジェクトを保存して再利用できる「エレメント」や、Adobe Creative Cloud全体でアセットを整理する「プロジェクト」といった機能を備え、構想から仕上げまでワークフローを中断せずに進められるとしています。こちらは現在、ウェイトリストを通じたプライベートベータでの提供です。
ChatGPTやClaudeからもAdobeツールを利用可能に
今回の発表で見逃せないのが、Adobeのプロ向けツールを外部のAIプラットフォームへ開放する戦略です。AdobeのツールはOpenAIのChatGPT、AnthropicのClaude、Microsoft 365 Copilotといった、世界中で何億人ものユーザーが使うサービスからも利用できるようになります[1]。さらにAdobeは、GoogleのGeminiとSlackにもコネクタを導入する計画を明らかにしており、対応の輪を広げています[1]。
普段使っているチャットやコラボレーションツールの中からAdobeの制作機能を呼び出せるようになれば、専用アプリを立ち上げる前の発想段階から制作に踏み出しやすくなります。Adobeアプリの外にいるユーザーにも入り口を用意した形で、AIエコシステム全体での普及を狙う動きと言えるでしょう。
提供開始時期
Firefly AIアシスタント(ベータ版)の最新機能は、発表と同日からAdobe Fireflyのウェブアプリで利用できます[1]。主要5アプリのAIアシスタントも同日からパブリックベータとして開放されました。一方で、刷新版のクリエイティブAI StudioやAfter Effectsのアシスタントは現時点でプライベートベータにとどまり、Studioの利用にはウェイトリストへの登録が必要です[2]。多くの機能がまだベータ段階のため、製品版での挙動や正式な提供時期は今後の発表を待つ必要があります。
まとめ
Adobeは、PhotoshopやPremiereなど主要なCreative Cloudアプリと、クリエイティブAIツールのFireflyにまたがってAIエージェントを大幅に拡張しました。望む成果物を伝えるだけで多段階の作業を任せられる仕組みを各アプリに広げ、ChatGPTやClaudeなど外部プラットフォームからも呼び出せるようにした点が今回の柱です。多くは現時点でベータ提供ですが、制作のあらゆる段階にAIアシスタントが入り込む流れを、Adobeが具体的な形で示したアップデートと言えます。
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000553.000041087.html
出典:https://news.adobe.com/news/2026/06/adobe-unveils-major-expansion
