複数のAIサービスを試したい場合、1つ1つ登録した挙句、それぞれにサブスク料金を支払うのも現実的ではありません。また、ChatGPT o1 Pro を使いたいけれど、$200/月のサブスクリプション料金がネックになっている方も多いのではないでしょうか。

そんな悩みを解決してくれるのが「OpenRouter」です。簡単に言うとこのサービスは、300以上のAIモデルをサブスクではなく、従量制で利用できるというもので、様々なAIモデルへのアクセスを一元化してくれて、OpenAI、Anthropic、Google、Meta、Mistralなど、主要なAIモデルを利用できます。そして、お勧めする一番の理由は、なんといってもコスパの良さです。

本記事では、日常使いとしての OpenRouter の使い方、メリット・デメリットについて詳しく解説します。

OpenRouterで利用できる主要AIモデル

記事執筆時点では、以下のようなモデルが利用可能です。(一部のみ掲載しています)
利用できるすべてのモデルはhttps://openrouter.ai/modelsから確認できます。

有名モデル

OpenAI系

  • o1-Pro / o4 mini / GPT-4.1 / GPT-4.5 (Preview) / Codex Mini

Anthropic系

  • Claude Opus 4 / Sonnet 4 / Sonnet 3.7 / Haiku 3.5

Google系

  • Gemini 2.5 Pro Preview / 2.0 Flash / Gemma 3 4B

無料モデル

  • DeepSeek R1 / DeepSeek V3 / Qwen3 235B A22B / Gemini 2.5 Flash Preview / Gemma 3 27B

OpenRouterを使ってみよう

OpenRouter のサイトを開き、左上の Sign in を押してメールアドレスかGoogleアカウントで登録を使って登録しましょう。

プライバシーポリシーと規約の同意にチェックを入れて、Continueを押してチャット画面にいきましょう。

これで登録は完了です。この状態になったら、無料モデルが使える状態になっています。
Chat 画面の [+Add Model] を押して検索欄に"free"と入力すると、無料のモデルが表示されます。

試しに Gemini を使ってみると、こんな感じ。

有名な9.9と9.11はどっちが大きいかを聞いてみた。この子は9.9を9.90と解釈しなかった。

一番人気のChatGPTを使いたい時は、"openai"と検索すれば、公式と同じくGPT-4.1や4oが使えます。こちらは無料ではないので、使う場合にはクレジットを課金する必要があります。

料金について

必要なのはカード情報と住所ぐらい。あとは支払いボタンを押せばOK

OpenRouterの料金体系は、使用するAIモデルとトークン数によって決まる従量課金制です。クレジット残高はあらかじめチャージしておくシステムになっています。

無料モデルのみ使う場合は課金無しで利用できますが、1日あたり50リクエストに制限されるため、$10以上残高にチャージすることをおすすめします。制限が1,000リクエストに増加します。

"If you purchase at least 10 credits, your daily limit is increased to 1000 :free model requests per day. (少なくとも$10を購入すると、1 日あたりのモデルリクエストの制限が1,000 件に増加します。)"
https://openrouter.ai/docs/api-reference/limits

チャージは「Credits」ページで最低 $5 からチャージできます。クレジットカードでの支払いの他、ビットコインなどの仮想通貨での支払いも可能です。

公式利用規約によると、残高はチャージから365日後に失効させる権利を持つとのこと。(実際に失効するのかは不明ですが、あらかじめ有効期限は1年だと考えれば安全だと思います。)

チャージ手数料

少し注意が必要なのは、チャージに手数料がかかることです。領収書が必要な場合にも手数料がかかります。

手数料の計算式:

実際の支払額 = (チャージ額 + $0.35) ÷ (1 - 0.05)

例:$40のクレジットをチャージする場合、実際の支払額は $42.48 となります。

モデルの使用料金例(1回あたり)

筆者が実際に使用したチャット履歴の金額を記載しています。
レートは$1 = 145円とし、手数料を考慮しています。

  • GPT-4o-mini: $0.15/1M入力トークン、$0.60/1M出力トークン
    • 1,072トークン 約$0.0047(約0.72円)
  • GPT-4.1:
    • 574トークン 約$0.0046(約0.71円)
  • o1-pro(ChatGPT Pro で使える高級モデル):
    • 1,980トークン 約$1.27(約195円)
  • Gemini 2.5 Pro Preview:
    • 1,365トークン 約$0.19(約29円)

OpenRouterの従量課金制は、使い方次第で大幅なコスト削減が可能です。自分の利用パターンを把握し、適切なモデルを選択することが重要です。

OpenRouterの良いところ

使えるモデルが多い

すでに使えるモデルが多く、比較的新しいモデルも選択可能。逆に古いモデルも選択できる点が特徴。

モデルの切り替えが簡単

1クリックで別のAIに変更できるので、複数のAIを使い分ける人にはピッタリ。

比較検証が容易

同じプロンプトを複数のAIに同時に投げることができます。
例えば Arcee AI Coder Large と、OpenAI Codex Mini を同時に走らせるとこんな感じ。

2つ同時にレスポンスを返してくるので、目の前に文字の川が出来る

OpenRouterの注意が必要なところ

チャット履歴がサーバーに保存されない

OpenRouter のチャット履歴はサーバーに保存されず、ブラウザのローカルストレージに保存されています。そのため、他のデバイスから履歴を見ることができません。そして、ブラウザのキャッシュをクリアすると全履歴が削除されてしまうため、注意が必要です。

API利用がメインのサービスなので、仕方ないところではありますが、この点だけ残念です。

フォルダ分けやタグ付けができない

チャットの整理機能は無く、フォルダ分けやタグ付けは出来ません。

o1-Pro などの高級モデルを使うには一定のクレジット残高が必要

o1-Proなどの一部のモデルを使うには、少し多めのクレジット残高が必要です。
$10では使えないため、ご注意ください。

クレジットに1年の有効期限がある

自分が1年で使い切れる分をチャージするのが良さそうです。